熊本地震
現地リポート
(2)
水源が枯渇 田んぼ亀裂
日販連専務 中塚敏春さん
野菜満載の2トン車で急行
野菜不足に応え
日販連(日本販売農業協同組合連合会)と供給センター長崎は、熊本への合同支援を実施。じゃがいも、玉ねぎ、人参などの支援物資を2トン車に満載して長崎から熊本県農民連のある熊本市に到着しました。
さっそく熊本県農民連の笹渕賢吾会長と新日本婦人の会などに野菜を配布。市内の避難所にも、炊き出し材料にと届けました。対応した市役所職員から避難者の状態を聞き取り、「住民のみなさんは昼間は家に帰っても夜はここに戻って寝ています。皆さんの野菜で温かな食事ができています」と喜ばれました。
“これで温かい食事が…”
最大被害の益城町では、野菜、米、食品などの支援物資の配布を行いました。住民の皆さんから「商店街すべてがれきになり、町外や熊本市に行かないとスーパーがない。じゃがいもは小粒なのに130円もしている。これは太か玉ねぎね〜、本当に助かります」「遠い長野の中川村農民組合からのジャムですか? レモンめずらしかね〜」と喜ばれました。
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益城町で支援物資を配布 |
田植えができない
多数の犠牲者が出た南阿蘇村を訪問し、農業の被害状況を村役場農政課長さんから聞きました。「いまだに700人が避難生活を送っているので、まだ農業被害については集約できていない。選果場が被害を受けてアスパラガスが出荷できないと聞いている。11カ所の水源があるが、塩井社水源が地震で枯渇して飲み水はもちろん水田に使えなくなり、田植えができなくなった」と被害状況を説明。この後、枯渇した塩井社水源の現場を視察しました。
80歳を超える地元農家は「2000枚の育苗箱に土を入れ種まきできる準備をしているが田んぼに亀裂が入っていて、水が入るかどうかわからない。家も倉庫も応急危険度判定結果で、『危険』という『赤紙』を貼られてしまい住めなくなってしまった」と切実な声を寄せました。
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水が枯渇した塩井社水源 |
甚大な被害訴え
甲佐町では、カーネーションやシクラメンの鉢物を栽培している農家を訪問し、母の日直前のキャンセルによる販売被害やハウス、施設への被害状態を調査しました。「倉庫やハウスが傾き、ハウスの中に大きな地割れや液状化が起きて全部建て直しが必要になった。枯れたりしての売り上げ減が1200万円、施設再建に少なくとも5000万円程度の資金が必要になると思う」と甚大な被害を訴えました。
息の長い支援必要
全国の仲間から
支援行動に参加した供給センター長崎の太田透代表は「実際の被害状況を農家、住民、行政から聞くことができて、今後同じ農民として何を支援すべきか理解できた」と語り、深夜1時過ぎの長崎帰着もいとわず行動をともにしました。
熊本県農民連の笹渕会長は「食べるものがないなかで、農民連の全国からの支援は助かっています。被災者から感謝の言葉を何度もかけられました。現在は、支援物資を届ける第一段階であるとともに、農家の生活と営農の再建のための要求の集約、政策と運動づくりという段階に入っています」と語っています。
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引き続き、救援募金の協力をお願いします。
▼ゆうちょ銀行から振り込む場合 記号 10030・番号 61671711・名義 農民連災害対策本部
▼他の金融機関から振り込む場合 店名 ゼロゼロハチ・店番 008・口座番号 普通 6167171・名義 農民連災害対策本部
(新聞「農民」2016.5.23付)
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