「農民」記事データベース20160606-1216-05

緊急シンポジウム

築地市場の移転
本当にこれでいいのか


11月移転“撤回”署名に
仲卸業者の過半数が賛同

 「築地ブランド」が世界的にも有名になり、国外からも多くの観光客が訪れる東京・築地市場。11月7日に予定されている豊洲の東京ガス工場跡地を巡って、さまざまな問題が噴出し、大きく揺れています。

 こうしたなか、築地市場の仲卸業者で作る築地市場・有志の会と、市場内外の労働者や消費者団体などが集まった「守ろう!築地市場」パレード実行委員会は5月21日、「緊急シンポジウム in 築地市場〜築地市場の移転、本当にこれでいいのか〜」を築地市場内で開催しました。シンポジウムには築地の仲卸業者70人をはじめ、市民や消費者団体など合わせて約160人が参加しました。

画像
会場いっぱいに参加者が集まりました

 都の汚染対策は絵に描いた餅

 シンポジウムに先駆けて有志の会が、豊洲新市場への移転スケジュールの撤回を求め、農水相あての署名に取り組みました。冒頭に有志の会の和知幹夫さんから、築地の仲卸業者591社のうち過半数の320社から署名があったことが報告され、会場は大いに沸き立ちました。

 まず、東京中央卸売市場労働組合の中澤誠執行委員長が、移転問題の経緯を紹介。続いて日本環境学会元会長の畑明郎さんが「豊洲新市場の汚染は除去されたのか?」と題して講演を行いました。畑さんは「東京都の汚染対策は絵に描いた餅だ。汚染土壌が地下に残され豊洲新市場の安全、安心は保障されない。しかも汚染対策費用が用地取得費の46%に達している」と指摘しました。

 討論では日本弁護士連合会元会長の宇都宮健児弁護士と広島大学名誉教授の三國英實さん、有志の会から仲卸の山口タイさんと石塚千枝子さん、豊洲用地購入・公金支出訴訟弁護団から斎藤悠貴弁護士が壇上に上がりました。

 山口さんは豊洲新市場の現状について「通勤の足もなく商売になるかもわからない。このままでは築地を作り上げてきた先人たちに顔向けできない。子どもたちにも、少しでもいい市場を残してあげたいという一念で署名に取り組んだ」と発言。

 石塚さんも「昨年夫が亡くなり、自分が河岸に出るようになって、移転の説明会などに出るようになったが、みんながあまりにも従順で驚いた。なんで反対をしないのかと思い署名に踏み出した。仲卸でも女性の方が問題意識を持っていた。最後までたたかって、できれば築地で続けていきたい」と語りました。

先人に顔向けできぬ
築地で商売続けたい

 マグロの解体すらできない

 会場からも多くの発言がありました。マグロの仲卸業者は「移転先は間口が1メートル40センチしかない。冷蔵庫や解体機を置いて流しをつけたら商売をする場所もなく、マグロの解体すらできない。誰がこんな作りにしたのか」と怒り心頭。しかも「要望を出すと『じゃあ移転しないのですね』とどう喝まがいの対応をする」と、東京都の対応を厳しく非難しました。

 また多くの参加者から、「豊洲の現状をもっと多くに人に知らせるにはどうしたらいいのか」という問題提起が出されました。宇都宮さんから「海外の人たちも築地には大きな興味を持っている。外国人記者クラブで記者会見を開くのも一つの手段」という提案も出ました。

 最後に「築地でええじゃないか」とみんなでコールを行い、築地の文化を守りぬく決意を固めました。

(新聞「農民」2016.6.6付)
ライン

2016年6月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2016, 農民運動全国連合会