農協つぶし・農水省解体の急先鋒
官邸人事で抜てきの 
奥原・農水省経営局長
  
 米価暴落にも手だてとらず 
企業の農業への参入を推進
 退職のはずが
 退職するはずだった奥原正明・農水省経営局長が、官僚トップの事務次官に抜てきされました。
 農水省職員の経験もある鈴木宣弘東大教授によれば「本当は辞めているはずの人であるのに、これまでとくに農協改革に取り組んできたという忠実な働きに対する論功行賞の人事」「これから徹底的に農協をつぶす、あるいは農業も農水省もつぶすという、それぐらいの総仕上げに入ってきたのではないか」といわれる人事です(農業協同組合新聞、6月17日)。 
 「『農業が産業化し、農水省が要らなくなることが理想だ』と豪語し、省内の“守旧派”への冷徹ぶりも一貫している」と評される奥原氏(週刊ダイヤモンド、6月9日)。 
 しかし、世間的には「異例の人事」ですが、安倍内閣にとっては必須の人事と言えます。 
 「事故米事件のA級戦犯」「毀誉褒貶(きよほうへん)が激しい」「剛腕」などと評される奥原氏ですが、「米価の安定」は農地の流動化、構造改革に反するという考え方の持ち主であり、産業競争力会議や規制改革会議好みの、マーケットに評価される政策をめざしてきた人物です。 
 農水省が2014年産の米価大暴落にも手だてを取らなかったのも、農水官僚が規制緩和・構造改革派ばかりになったのが理由であり、常にその中心にいた人物だともいえます。 
 「農地中間管理機構」を作った責任者でもありますが、結果は思うようには進んでいません。安倍内閣の「改憲」による国民の「私権制限」を利用して、農家からの農地の引きはがしを考えているかもしれません。 
  安倍政権に痛打を
 安倍内閣によって奥原氏に与えられている任務は、農地を耕作農家から取り上げ企業に売り渡すこと。
 農業の6次産業化、輸出産業化で投資の受け皿となる企業体を量産し、「アベノミクス」の延命を図ること。 
 そして、次の総選挙で自公がスローガンに使いたい「中央省庁の再々編」の先頭に立って農水省を解体し、日本の農林水産行政を終わらせることです。 
 
  
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    「米を守れ」とデモ行進=2014年10月22日  | 
   
 
 18年からの国による「生産数量目標の配分の廃止」は大規模稲作の経営者ですら「不安は払しょくできない」といいます。 
 参院選で問われているのは、米の価格と需給の安定に国が責任を持つこと、不足払いなどの価格保障、生産・消費と農地活用のバランスを図るための生産調整の実施など、EU(欧州連合)やアメリカで実施されている政策の実現です。安倍政権に痛打を与え、農政を転換させましょう。 
         (新聞「農民」2016.7.11付) 
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