「農民」記事データベース20171030-1285-06

農家が得する
税金コーナー
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医療費控除の特例
セルフメディケーション税制の創設

 平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に健康の保持増進及び疾病予防として一定の取り組みを行っている人が、自己または生計を一にする親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額の医療費控除を受けることができます。

 特定一般用医薬品等購入費とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)からドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費をいいます。

 セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、従来の医療費控除との選択適用となります。したがって、この特例の適用を受ける場合は、従来の医療費控除を併せて受けることはできません。選択した控除を、更正の請求や修正申告において、変更することはできません。

適用を受けるための要件

 (1)適用を受けられる人

 セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に健康の保持増進及び疾病の予防として「一定の取組」を行っている居住者が対象となります。具体的には、次の取り組みが、「一定の取組」に該当します。

 1 保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査【人間ドッグ、各種健(検)診等】

 2 市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】

 3 予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】

 4 勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】

 5 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導

 6 市町村が健康増進事業として実施するがん検診

 なお、申告される方が「一定の取組」を行っていることが要件とされているため、申告する人が取り組みを行っていない場合は、控除を受けることはできません。生計を一にする親族が一定の取り組みを行う必要はありません。

 (2)特定一般用医薬品等購入費の範囲

 セルフメディケーション税制の対象となる商品には、購入の際の領収書等にセルフメディケーション税制の対象商品である旨が表示されています。スイッチOTC医薬品の具体的な品目一覧は、厚生労働省ホームページに掲載の「対象品目一覧」をご覧ください。

 なお、一部の対象医薬品については、その医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。

セルフメディケーション税制 共通識別マーク
画像

控除額の計算方法

 セルフメディケーション税制による医療費控除の金額は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補てんされる部分を除きます)から1万2千円を差し引いた金額(最高8万8千円)です。

手続き

 セルフメディケーション税制の適用に関する事項を記載した確定申告書を提出します。また、次の(1)の書類を確定申告書に添付し、かつ、(2)の書類を確定申告書に添付または提示します。

 (1)特定一般用医薬品等の領収書など(特定一般用医薬品等購入費に該当するものの金額が明らかにされているものに限ります)に基づく、次の事項の記載のある明細書

 1 特定一般用医薬品等購入費の額

 2 特定一般用医薬品等の販売を行った者の氏名または名称

 3 その特定一般用医薬品等の名称

 4 その他参考となるべき事項

 ※領収証などの記載事項の詳細については、厚生労働省ホームページで明らかにされています。

 (2)その年分に一定の取り組みを行ったことを明らかにする書類(氏名、取り組みを行った年及び取り組みに係る事業を行った保険者、事業者もしくは市区町村の名称または取り組みに係る診察を行った医療機関の名称もしくは医師の氏名の記載があるものに限ります)

 ※申告期限から5年間、税務署が領収書などの提出または提示を求めることがあります。領収書などは、ご自宅等で保管してください。

 ※上記(1)は、経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、特定一般用医薬品等購入費の額を証明する書類、例えば領収書などを確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することにより明細書の添付に代えることもできます。

(新聞「農民」2017.10.30付)
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2017年10月

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