福島切り捨て許さない
県農民連が政府・東電要請行動
  
 住民の意思無視の安倍政権 
賠償減額を画策する東電
不誠実な姿勢改めて明らかに
 福島県農民連は4月26日、「安倍政権・東京電力の福島切り捨てを許さない」政府・東電要請行動を行い、160人が参加しました。
  原発は直ちにやめてほしい
 首相官邸前で行った抗議集会で、福島県連の根本敬会長は「去年、チェルノブイリに行ってきたが、原発反対の運動はなかった。原発事故の被害者がたたかえるのは日本だけです。ともにがんばろう」と呼びかけました。
 原発をなくす全国連絡会の盛本達也さんも駆けつけ、「原発と人類は共存できないというのが事故の最大の教訓ではないか。野党が原発ゼロ法案を共同提出した今がチャンスです。一緒にがんばっていきましょう」と連帯あいさつしました。 
 南相馬市の志賀勝明さんは、「原発が私たちに教えてくれたのは『謙虚になれ』ということです。原発は直ちにやめてほしい」と訴えました。 
 共産党の岩渕友、紙智子参院議員も激励あいさつを行いました。 
 続いて、政府・東電との交渉が行われました。立憲民主、民進、共産、社民、自由の各党と無所属のあわせて14人の国会議員も参加しました。 
 
  
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    東電に要請書を手渡す根本会長(右)  | 
   
 
 交渉では環境省が二本松市で計画している放射能汚染土壌の再利用実証事業が大きな問題となりました(詳細は後日掲載予定)。 
 一筆ごとの汚染マップ拒否
 農水省に対してはこの間継続して農地一筆ごとの汚染マップを作成することを求めてきましたが、同省は今回も「航空モニタリングによる調査で十分」という従来からの回答に終始しました。
 「農民は自己責任で何とかしろと言われ続けている。最後の守り手のはずの農水省が何をするかが問われている」と根本会長は指摘。除染に携わった参加者からも「肝心なのは土の中だ。空中に生える農作物はないんだから」と訴えました。 
 「せめて農家の健康調査くらい農水省が責任をもってやってほしい」と佐々木健洋事務局長も重ねて訴え、農水省は文書による回答を行うことを約束しました。 
 不公平な賠償方法やめろ
 東電に対しては、2019年1月以降から計画されている賠償の計算方法について撤回を求めました(変更の中身は表を参照)。
  
 
 「柔軟な賠償から一般的な賠償制度に移行させていきたい」というのが東電の主張ですが、これまでの品目ごとの賠償は、「柔軟」ではなく適切な方法です。東電の提示した方法は極めて煩雑で不公平な方法であることがやり取りで明らかになり「これは許せない」「どこが『損害ある限り賠償する』なんだ」と怒りが噴出。「干し柿農家だが、まだまだ風評被害も出荷停止もあるなかで、一生懸命他の作物で何とか補っている状況なのに、通算して賠償を少なくするなんて許されない。これまで通り、一つ一つの品目で賠償するべき」という訴えに会場から大きな拍手がわき起こりました。 
 基準年度の変更についても「法律の義務付けもない12年も前の売り上げの資料を要求するのか。こんな無理な要求はのめない」と撤回を要求。東電は検討を約束しました。 
 交渉を通じ、住民の意思を無視した国の姿勢や、賠償を極力抑えようとする東電の姿勢があらわとなりました。一方、個別事例ではこれまでの継続した交渉が実を結び、前進を勝ちとっています。 
 農民の要求をまとめて、国と東電に突きつける農民連の真価が発揮された交渉となりました。 
         (新聞「農民」2018.5.14付) 
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