「憲法改正」が教育を壊す
教育のつどいに参加して
農民連常任委員 齋藤敏之
青木理さんが記念講演
8月17日から3日間、長野市で「教育のつどい2018in長野」が開催されました。
開会式典後に行われた記念講演は、「『憲法改正』が教育を壊す〜ジャーナリズムの視点から」と題して、青木理さんが、信大医学部の女子学生と新日本婦人の会の西川香子さんからの質問に答える形で進められました。
東京医大入試での女子学生の差別や、自民党・杉田水脈衆院議員の「生産性」発言、憲法問題などの質問が出されました。
青木さんは、「『生産性』発言をした議員を衆議院の中国ブロック名簿の1位に指名し、稲田氏を防衛大臣にする」など、「ことごとく失敗している」と述べました。
自民党の憲法草案は、森友問題で話題になった「教育勅語の朗読にみられるように、安倍政権やそれを支える日本会議などがめざす教育改革を可視化したものだ」と語り、その根底には、戦前文部省が作った「国体の本義」に「日本国は天皇を主人とする大家族であり、その構成要素としてそれぞれの家がある。この家とは、『家父長が支配する体制』と書かれている」ことを指摘しました。
フォーラム「『こうあるべき』からの脱出」
全体集会終了後、全体会と分科会をつなぐ課題別に7フォーラムが開かれ、その一つの「『こうあるべき』からの脱出」と題するフォーラムに参加しました。
フォーラムは、「『こうあるべき』とは何かを読み解く」をテーマにミニ講演の後、3つの報告が行われました。
「一切の例外は認めない生徒指導担当の先生」と、「不満を持ちながらも考えなくなる生徒たち」の立場で、「問題行動をなぜ起こしたのか」を探りながら、改善を目指す中学教師の報告がありました。
さらに、2人の高校生が、愛知で30年続く私学高校生による自主的な高校生フェスタのとりくみと、そこで学んだことを生き生きと報告。LGBT(性的少数者)への差別について「普段使う言葉一つでも、相手の立場で考えて発言することで関係は変わる」と研究者が訴えました。
フロアでは、「まずは自分の中で当然になっていることを、もう一度考え直したり、自分自身に寛容になることから、他人に『こうあるべき』と押し付けることはなくなっていくのかなと思いました」など多様で活発な討論が行われました。
「故郷に誇りを持てる」取り組みを
18、19日の2日間は、分科会「生活科・総合学習」に参加しました。
この分科会は、高知県教組の先生が「学力テスト偏重の中で、先生までゆがめられる中、生活科・総合学習は、点数に縛られないで地域とかかわれる教科だと思う。この時間を活用して地域を知る、『故郷に誇りを持てる』取り組みを進めている」と報告したように、学校と地域の関わりが話し合えた分科会でした。
8本のリポートは、様々な形で地域と関わる実践が報告されました。それらのとりくみで共通していたのは、地域の様々な人々と協力し、地域で出会った事実から、地域を自分のこととしてとらえる学習が進められていることでした。
生活科ができて30年になるそうですが、がんばる先生方とともに「地域に誇りが持てる学習」に、農民としてどんな貢献ができるか、考えさせられた教育のつどいでした。
(新聞「農民」2018.9.10付)
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