奈良 大和郡山子どもの食を考える会
カレーを“一”から作るプロジェクト
材料も器も育てる採取するそして作る
給食の野菜納入が発展
農業体験通じた食育に
奈良県農民連北和センターでは、保護者とともに地場野菜を学校給食へ納品する「大和郡山市子どもの食を考える会」の活動をしています。
2011年に開催された「奈良の学校給食を考える会」立ち上げ準備会の各地域別ディスカッションで意気投合し、発足したこの会は、採れたての新鮮な生産物を使ったおいしい給食を子ども達に食べてもらい、また食物アレルギーを持つ子ども達にも給食を提供できる環境作りをめざし、地域農家による農薬・化学肥料使用にこだわった有機農業体験から始まる食育を考えています。
夢の第一歩は食材の納品から
同会では13年11月、大和郡山市内で地域農家による玉ねぎの農業体験を始めました。翌年14年6月にはJAならけん大和郡山市経営者クラブを通じ、市内学校給食の「大和郡山カレー」の献立の日に、収穫体験の玉ねぎ263キロ、じゃがいも235キロを納品することができました。
 |
こんなに大きな玉ねぎが取れたョ! |
これを契機に毎年6月の「大和郡山カレー」献立の日には、かぼちゃ、さつまいも、人参と品目も増やして納品しています。
“食”は生きる力
命を育てる大切さを子どもたちに
1年半をかけた大プロジェクト
今まで同会では、親子農業体験や調理実習、食育かるた作りなど、毎年様々なイベントを開催してきました。昨年度からはさらに、「一からカレーライスプロジェクト」を始めました。スーパーで材料を買って作るのではなく、一から材料を育てる、収穫する、作るなど、じっくり1年半の月日をかけてカレーライスにします。
まずは、プロジェクト参加者を募るため、カレー作りのヒントが詰まったドキュメンタリー映画「カレーライスを一から作る」の上映会を9月に市内で開催しました。上映会には約100人が参加し、上映会後は説明会を行い、29家族、89人のプロジェクトへの参加希望がありました。
三角巾を玉ねぎの皮で染めて
10月に、第1回のスケジュール説明会を市内公民館で開きました。説明会後は、ゴールのカレーライス作りで使う三角巾を、玉ねぎの皮で染めました。白いバンダナを大豆やビー玉、洗濯バサミなどで絞り、玉ねぎの皮を煮出した染液の中へ浸けこみ、みょうばん水で色止めします。その瞬間の色の変化がとても面白く、子どもたちも大喜び。個性豊かで、素敵な三角巾ができ上がりました。
 |
個性豊かな手染めのバンダナ |
畑は区画分けし家族ごとに管理
11月には、カレーライスの材料の玉ねぎとニンニクを植え付けました。畑は区画分けし、各参加家族が管理するオーナー制を取り入れたことで、それぞれの責任感や充実感が増しました。1家族あたり玉ねぎ100本とにんにくを植えました。
今年度から始まったSNSを使った参加者の感想や各自の畑の作業報告の投稿も、互いの刺激になりました。
今年5月には、ウコンやショウガ、赤唐辛子、さつまいもを植え付け、6月には玉ねぎとニンニクの収穫とクミン、コリアンダーの香辛料と、かぼちゃ、トマトの植え付けも行いました。玉ねぎはひとつ500グラムもある大きなものもあり、学校給食へ569キロを納品しました。
米作りではチェーン使って除草
そして今年6月には米作りも開始。おとなも子どもも童心に戻って土の感触を感じながら、田植えを行いました。その後、チェーンやデッキブラシを使った除草作業を実施。今は稲の成長を見守っているところです。
 |
田んぼの除草も自分たちで |
カレー作りが今から楽しみだ!
8月には人参とじゃがいもの植え付け、10月には香辛料の乾燥と粉砕、粘土のお皿作り、海水を使った塩造りなど、まだまだゴールまで作業が続きます。道のりは長いですが、作業で学ぶことも多く、「作業の後はすがすがしい」「自分の畑があり、子どもたちも喜んでいる」「今からカレーライスを作るのが楽しみ!」など、参加者一同、一緒に楽しくがんばっています。
 |
生産者と一緒に定植作業する参加者 |
(新聞「農民」2019.8.5付)
|