「農民」記事データベース20200406-1403-03

学校給食キャンセル
国が支払いへ動く

事業の周知徹底し、支払い早く


 新型コロナウイルスの感染拡大による小中高校のいっせい休校で、学校給食の食材キャンセルが相次いでいる問題で、農民連、農民連ふるさとネットワーク、全国食健連は3月6日に江藤拓農水大臣に直接、緊急要請を行うなど、生産者への補償などを求めて運動を強めてきました。こうした運動を反映して、政府が3月10日に発表した第2弾の新型コロナ緊急対策では、「学校給食休止への対応」が盛り込まれ、キャンセルされた食材の違約金などの支払いが行われることになりました。

 支払い対象は「すでに発注されていた食材にかかる違約金」とし、「食材納入の有無は問わない」とされたほか、「食材を転売できた場合の差額」も支払い対象に含まれるとされたことは、大きく注目される点です。さらに江藤農水大臣は国会での質疑で、慣例として決まった数量を学校給食に納入しているようなケースにも対応していく考えを示しています。

 一方で、米など4月以降にも使用できる保存可能な食材は「支払い対象外」とされ、年間を通じて学校給食に供給している食材は休止された3月分の受注額がまるまる損害となってしまう不十分さも残されています。

 文科省と懇談 

 ふるさとネットでは現在、請求に向けた取り組み強化を全国の産直組織に呼びかけていますが、緊急対策の内容周知が徹底されておらず、市区町村や学校によって対応がまちまちなどの問題が起こっています。

 たとえば、「緊急対策」では明確に支払い対象とされている「発送にキャンセルが間にあった未着の食材」にも、市区町村や学校によっては「支払わない」と回答している事例が全国で多発しているほか、いまだに業者に対し請求要綱すら明らかにされていない市区町村も数多いのが実態です。にもかかわらず、申請の締め切りが当初、「基本的に3月末」とされたことから、転売に時間がかかるものなど請求業務が間に合わないという声も数多くあがっています。

 また具体的には、各産地が学校や学校給食会と直接契約している場合を除き、給食食材の納入業者が市区町村に申請し、業者を通じて産地に支払われることになりますが、食材業者が申請をためらって生産者への連絡がないなどの事例も多く、現場はきわめて不安な現状が続いています。

 こうした事態に、農民連とふるさとネットは3月27日、日本共産党の畑野君枝衆院議員が同席し、学校給食を所管する文部科学省の担当部局と懇談(写真)。市区町村に緊急対策の内容を周知徹底すること、請求申請の締め切りが3月末でないことを書面でくりかえし通知すること、請求をあきらめる業者がいないようにすることなどを求めました。

 文科省は、「緊急対策は関係省庁も多く、具体的にどう進めるかはまだ混乱が多いのも事実」と述べ、引き続き実態把握と周知徹底に努めていくことを強調しました。

 給食以外も深刻

 新型コロナウイルスの感染拡大問題では、学校給食の食材キャンセルの他にも、大規模イベントや外出自粛、外国からの入国規制などが続き、需要の冷え込みが広範な経済的不況となって現れています。農業でも、牛肉価格や子牛価格の暴落、花や野菜の需要の冷え込みなど、影響は深刻です。

 農民連とふるさとネットは、学校給食だけでなく、農業・食料への広範な影響を対象に、実態調査と、補正予算要求を含めた大胆な支援策の要求を強めていきます。

(新聞「農民」2020.4.6付)
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2020年4月

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