「農民」記事データベース20200420-1405-01

過去最低の食料自給率
元凶は安倍政権

新基本計画を斬る(上)
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国連がコロナ禍で「世界食料危機」警告

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こんな情けない食生活が…
1日1人あたり供給可能熱量2,546kcal

 新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、新たな「食料・農業・農村基本計画」が3月31日に閣議決定されました。1999年の食料・農業・農村基本法制定以来、5年ごとに改定されてきた基本計画。

 戦後最大ともいわれる新型コロナウイルスによる経済・社会危機のさなか、世間の注目をほとんど浴びずに決定された基本計画は、農と食、農村の未来を切り開くものになるのでしょうか?

 過去最低に落ち込んだ食料自給率は回復するのか? 農林水産物・食品の輸出額を「5兆円」に5倍化するという大ボラの行方は? 「家族農業重視」は本当か? ご一緒に考えてみましょう。

 2018年度の食料自給率は過去最低を記録しました。カロリー自給率は37%で、大凶作と「米パニック」に見舞われた93年度を0・04ポイント下回る異常事態です。

 カロリーベースで見れば、日本国民は1日3食のうち2食を海外産食料に依存し、輸入が止まれば、図のような情けない食生活に(基本計画付属文書)。

 野党連合政権の方向にこそ食と農の未来

 新基本計画は自給率が過去最低に落ち込んだ原因をまともに分析することを避け、自給率目標を「45%」に据え置くとともに、新たに「食料国産率」という耳慣れない目標を打ち出しました。

 ここには、安倍政権一流のゴマカシと無責任があふれています。

 10年前、民主党政権が作った基本計画は、戸別所得補償の実施を柱にして食料自給率(カロリーベース)を当時の41%から50%に引き上げるという意欲的なものでした。

 ところが、5年前、安倍政権は戸別所得補償を廃止し、自給率目標を45%に引き下げ。さらにTPP(環太平洋連携協定)11や日欧EPA(経済連携協定)、日米貿易協定を強行して総自由化体制に突入するとともに、主要農作物種子法(種子法)と加工原料乳補給金法の廃止、農協たたきなど“官邸目線”の農政改革が吹き荒れた5年間でした。

 安倍農政こそが食料自給率低下の元凶であり、その転換なしには、「45%」目標は単なる飾り物に終わるばかりか、自給率がさらに落ち込むことは必至です。

 民主党政権時代の基本計画の経験は、野党と国民の共同による連合政権の方向にこそ食と農の未来があることを示しています。(2面につづく)

(新聞「農民」2020.4.20付)
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2020年4月

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