農家が得する
税金コーナー
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固定資産税の
納税通知が届いたら…
毎年4月から6月くらいになると土地や建物などの固定資産を持っている人に対して、市町村から固定資産税の納税通知書(課税明細書)が届きます(図)。「高いな」と思いながら、毎年、通知書に記載された税額を納付している人が大半です。
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市町村ごとで様式は異なりますが、おおむねこのような項目が記載されています。 |
固定資産税は、納税者が自分で税額を計算する所得税などと異なり、市町村が土地や建物の評価額を決め、税額を計算して通知する税金で、税額に誤りがあっても、納税者からチェックすることが容易でないため、そのまま納付しがちです。
総務省の全国調査(2012年)では、納税者からの申し出等による土地や建物の税額修正率が0・2%もありました。全国の土地の筆数が約1億8千万筆(2015年)ですから、その0・2%は3万6000筆です。また誤りに気づかず放置されているものを含めれば膨大な数です。
農民連の会員でも誤りを申し出て5年以上に遡って還付を受けたり、それ以後の税額が軽減されたりするケースが全国から数多く報告されています。固定資産の評価替えは3年に1回実施されます。原則として3年ごとに、また1回も課税明細書をチェックしていない人は今年、必ずチェックしてみましょう。
(1)いちばん大事なことは 「高いなぁ」 と感じる強い意識
高いと感じる土地や建物に限定して挑戦してみてください。課税明細書には、課税地目、登記地目、面積、評価額、課税標準額、税額などが書いてあります。評価額と課税標準額をそれぞれ面積で割って、1平方メートルあたりの金額を算出して、近隣の土地などと比較してみてください。
資産評価システム研究センターの地価マップには、全国の固定資産税路線価が詳細に公表されていますので参照してください。
(2)現況が、課税明細書に記載してある課税地目と一致しているか
地方税法では、市町村が年に1回以上現況調査を行うことになっています。実際は、ほとんどが実地調査はせず航空写真での調査で、登記簿など書類だけで調査を済ましているケースもあります。
(3)住宅用地の軽減がされているか
住宅が建っている土地は、住宅用地として税額が6分の1(200平方メートルまで)や3分の1(200平方メートル超)に軽減されます。住宅が2世帯以上ある場合は、その分だけ軽減面積が増えます。
(4)生産緑地や市街化調整区域内の農小屋、 畜舎などが、 宅地並み課税されていないか
税改正によって、こうした土地は宅地並み課税から農地並み評価額+造成費(1平方メートルあたり2000〜3000円が目安)に変わりました。市町村がその変更処理をもらしているケースがあるので確認しましょう。
(5)建物ですでに壊してなくなっているのに、 課税明細書に掲載されているものはないか
以上のポイントをチェックした結果、わからないことがあれば、いつでも(時期などが定められた審査申出制度などもありますが)、市町村に問い合わせれば回答してくれます。そして市町村の回答を元に、市町村が正しく算定しているかどうか、ふたたびチェックしてみます。
不明点があれば、農民連本部の税金対策部までお問い合わせください。
(新聞「農民」2020.4.27付)
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