新型コロナ
打撃深刻 各方面に
葬儀・法事も縮小
菊 需要減少で価格暴落
出荷制限で3割廃棄
愛知
電照菊でおなじみ、全国を代表する輪菊(りんぎく。切り花にする菊)の産地、愛知県田原市では、新型コロナウイルス感染拡大による葬儀の縮小などで需要が大きく減少し、農家の不安が日々大きくなっています。
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輪菊(左上)を栽培する温室ハウスの夜景 |
今の時期に出荷する輪菊は1月に定植し、花芽を分化させるために、温室の暖房温度を20度にしなければならず、10アール当たり50万円の重油代がかかっています。しかし、需要が大幅に減っていることで、販売価格は平年の2〜3割に、10アール当たりの売り上げは60万円にしかならず、重油代でほとんどなくなってしまう状態となっています。
1本95円が1円に…
相対での取引は、年間契約で1本95円です。しかし今は業者も在庫を大量に抱えているため、セリに出るものは1本1円という価格まで出ています。
さらに需要減少を受けて、農協も出荷量を制限せざるをえず、4月19日から秀品以外の出荷が停止されることになりました。出荷制限により、3割は廃棄処分になるとのことです。
農産物は需要が減っても工業製品のようにすぐに生産を止めることができません。
また、これから植える苗は、お盆の時期の需要に向けたものになります。その頃には新型コロナウイルスの感染が終息していればいいのですが、見通しがわからないのが心配です。
バラや金魚草などの洋花類も、50本入りのケースが1箱500円という相場が続いています。
今後の見通しがたたなければつなぎ融資を受けることにも不安がよぎります。花き農家が営農を続けるには、いよいよ具体的な補償が必要となっています。
(愛知農民連 鈴木信次)
水産物 値がつかず、休漁続出
「沿岸漁業守れ」
全国沿岸漁民連が国と全漁連に要請
緊急事態宣言にともなう飲食業界の営業自粛の影響で、生鮮魚需要が激減し、値段もつかない魚も出現するなかで、休漁せざるをえない漁船が全国各地に出ています。
JCFU全国沿岸漁民連絡協議会の調査によれば、北海道留萌管内では、エビが3〜4割、ミズダコが1割、ナマコが5割ほど安い価格に、青森県大間地区では旬のサクラマスの価格が2分の1から3分の1に、岩手県大船渡地区ではドンコが3分の1、毛ガニが2分の1の価格とのことです。山形県庄内地方でも地魚が2分の1から3分の1に下落したほか、県外出荷できず休漁船が増えています。
また香川県丸亀地域ではマダイの価格が3分の1になったほか、サワラの出荷が見通せず出漁をとりやめ、愛媛県でも養殖マダイの価格が3割下落。長崎県対馬では釣りサバが2分の1の価格になり休漁。アワビ、サザエ、アナゴは値が付かず出荷を取りやめました。
JCFUは4月22日、「新型コロナウィルス感染症の経済的影響から沿岸漁業経営を守るための緊急要請書」を農水大臣と全国漁業協同組合連合会長に提出しました。
北海道戸井漁協の下山浩助JCFU全国理事は、「ここ数年、沿岸漁業経営はクロマグロの漁獲規制、スルメイカの大不漁で深刻な状況にある。今回の新型コロナの影響は、沿岸漁家を一層深刻な経営危機に追いやるものだ」と語ります。
また、養殖業への影響も深刻で、長崎県対馬の美津島町西海漁協でクロマグロ養殖を営む松村宗典JCFU全国理事も、「養殖マグロの出荷量は例年の3割にまで減少している。航空便の欠航で消費市場へ出荷できない状況だ」と嘆いています。
(全国沿岸漁民連事務局長 二平章)
休刊のお知らせ
次週号(5月11日付)は休刊にします。
新聞「農民」編集部 |
(新聞「農民」2020.5.4付)
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