「農民」記事データベース20200504-1407-07

新型コロナ TPP11…

国産牛肉価格が暴落

それでも 輸入は2割も増加


 新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るう中で、牛肉の「輸出」が激減しています。同時に外国人観光客も激減し、イベントや外出自粛要請などで国内需要も打撃を受け、流通在庫は、8000トンから1万6000トンへと8000トンも膨れ上がり和牛の枝肉価格は過去5年間で最安水準に落ち込んでいます。東京食肉市場の3月の和牛枝肉の平均価格は、1キロ1857円と、2014年以来の2000円割れとなり、1頭当たり90万円前後まで下落しました。

 豪州産が急増 セーフガードを

 ところが、こんなに肥育農家や繁殖農家が苦境に立たされているさ中に、日本では牛肉の輸入が急増しています。

 TPP(環太平洋連携協定)11参加国とアメリカを合わせた3月の牛肉輸入量が、昨年同月比で19%・7560トンも増えていることが、財務省のまとめでわかりました。アメリカからの輸入量はほぼ横ばいでしたが、オーストラリア(豪州)などTPP11参加国からの輸入が34%も増加したからです。

 その理由は為替相場。円安に振れた3月下旬に、駆け込みで通関を切る動きが集中したためです。

 ところが農水省は、「セーフガード(緊急輸入制限)基準に達していないので、輸入規制はできない」と冷たい態度です。

 畜産農家からは、直接支援を求める声と同時に、「やはり価格を回復するためにも、政府は需要回復に全力を尽くしてほしい」という痛切な声があがっています。国内受給をゆがめる自由貿易協定は、今こそ見直しが必要です。

(新聞「農民」2020.5.4付)
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2020年5月

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