「農民」記事データベース20200525-1409-03

新型コロナで売り上げ63%減
でも 若者迎えて入協式

和歌山 古座川ゆず 平井の里
現地リポート 紀ノ川農協組合長 宇田篤弘さん


 和歌山県古座川町の農事組合法人「古座川ゆず平井の里」では4月1日に入協式を行いました。3〜4年前くらいから若い職員を迎えたいと考えてきましたが、思いが叶いました。地元出身で神戸の大学を出て帰ってきてくれた寒川(そうがわ)綾乃さん(23)、また地元の高校を出てしばらく一般の会社で働き転職してきてくれた打越輝司(こうし)君(21)、二人とも平井の里で働きたいと来てくれました。入協式の後みんなで映画「未来を耕す人びと」を鑑賞し、廃校になった校舎の庭に「クマノザクラ」を植えました。

 また、七川地域づくり協議会も発足して3年が過ぎ、昨年からは「家族農業10年」の地域プラットフォームの準備も進めてきましたが、そんなところに新型コロナウイルス問題の発生です。

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前列右から2人目が打越さん、3人目が寒川さん、後列右端が宇田さん

 2019年に和歌山県を訪れた観光客は、1959年の調査開始以来最多の3543万3千人で、中国や香港など海外からの宿泊客も記録がある1984年以降最多の50万1884人でした。

 新型コロナウイルスの影響で観光客が激減し、道の駅や直売所、ホテルの売店が休業する事態となっています。

遊休農地を畑に再生し
地域と運動継続の力に

 ゆずの苗木を予定通り定植

 平井の里の商品は、地元紀南の道の駅やホテルの売店での販売も多く、5月7日の時点で約20の取引先が休業し、売り上げは前年と比べ3月37%、4月60%となり、休業した委託販売の取引先から商品を引き上げてきました。また予定していた果汁原料の販売も秋まで延期となりました。すぐに資金の手配を行ったので雇用調整は、せずに来ましたが、この状態が続けば雇用調整を行うことになります。

 そんな中ですが、4月19日は、予定通りゆずの苗木を定植しました。定植作業には、新人職員2人と役職員、そして老齢農家のゆず畑を受け継いだ若手組合員と、お試し住宅に長期滞在し、定住先を探している若者も参加してくれました。

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ゆずを定植しています

 遊休農地をお借りして、昨年からゆず畑に再生する取り組みを始めました。新規就農者や定年後帰ってくる人たちのための準備です。

 この平井の里の事業と運動を継続して行くため現場の状況にあった支援を求めていきたいと思います。自分たちでできることも進めています。

 オンラインショップの取り組みさらに発展へ

 多くの方がコロナ禍のなかで考えることですが、オンラインショップの取り組みをさらに発展させようとしています。

 平井の里のオンラインショップに、平井の里とふうの丘(紀ノ川農協の直売所)の共同企画「ふうの丘マルシェ」を開設しました。“ゆずや水、地域の恵みに感謝しながら、感動のあるシンプルな商品づくり”をめざす平井の里の商品で、野菜や果物をゆずの香りでよりおいしく召し上がっていただく。古座川や直売所に行かなくても、お買い物と田舎の暮らしや生き方を食卓で支えていただき、体感していただくことをめざします。

 3〜5年後には、クマノザクラの花を咲かせ、ゆずの実を収穫したいと思います。

 平井の里のオンラインショップは https://yuzusato.shop-pro.jp/ です。応援をお願いします。

(新聞「農民」2020.5.25付)
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2020年5月

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