学生も 若手農家も
フードバンクで両方応援
民青大阪 阪南地域連絡会
  
 助かりました〜! 
大阪農民連・阪南支部協議会 
江川拓志(ひろし)さん、明里(あかり)さん
 フードバンクで配布する米や野菜を若手生産者から購入することで、収入減で苦しむ学生も農家も支援しよう――大阪でそんな取り組みが進んでいます。
 日本民主青年同盟(民青)の大阪・阪南地域連絡会は、昨年から和泉市などで行っている学生向けのフードバンクで、カンパをもとに米や野菜を地域の農民連の青年農家から買い取って使用しています。 
 
  
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    和泉市での食料支援  | 
   
 
 農産物を生産しているのは泉佐野市の大阪農民連阪南支部協議会会員、江川拓志さん(37)、明里さん(34)兄妹です。二人は和泉山脈のすそ野で米20アールと野菜を30アールほど栽培しています。 
 「はじめはコロナ禍による一斉休校で、学校給食向けだった大玉玉ねぎの行き先がなくなり、困っていた時にフードバンクに買い取ってもらいました」と拓志さん。「21年産のヒノヒカリは8月の長雨などで収量が3割ぐらい減ってしまいました。米価も30キロで2000円くらい下がっていて、フードバンクに買い取ってもらえて本当に助かっています」 
 「江川さん兄妹は民青の仲間です。班会のなかで、コロナ禍で米や野菜の価格が下落していると聞いていました。スーパーで買うよりも生産者から直接買った方が双方の支援になるのではと思い、江川さんから米や野菜を購入しようと考えました」と話すのは、民青の福岡明恵さん(30)です。 
 「江川さんに『出せるものがありますか』と聞いたら、『ジャンジャンあります』と二つ返事でした。フードバンクに来た学生からも、『支援をしてくれて助かった』と感謝される取り組みになっています」と語ります。 
 
  
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    収穫目前のダイコン畑で。左から福岡さん、江川拓志さん、明里さん  | 
   
 
 「実は取引のあった給食の食材卸業者が、コロナ禍で納入した農産物の代金を払わないまま倒産し、まだ支払われていない代金があります」と拓志さん。 
 10年前から農家の下で働き始めた2人は独立して3年が経過しました。「獣害などもあり、今の状況では兄妹二人が生活するだけで精いっぱいですが、これ以上の面積は耕作できません。スーパーに出荷しても手数料などで3〜4割目減りしてしまいます。せめて生産がきちんと続けられる農産物の価格であってほしいです」と話します。 
 それでも「寝ている間も次の作業のことで頭がいっぱいです。農業以外の道は、もう考えていません」と話す江川兄妹でした。 
         (新聞「農民」2022.1.31付) 
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