TPP問題で意見交換
農民連とKPL(韓国農民会総連盟)が
オンラインで懇談
連帯と共同広げ、新自由主義・
総自由化体制を終わらせよう
農民連と韓国農民会総連盟(KPL)は2月22日、韓国政府が加入手続きを進めているTPP(環太平洋連携協定)11問題などで意見交換会をオンラインで行いました。KPLからは、ハ・ウォノ(河元伍)議長、コ・チャンゴン(高昌健)事務総長らが、農民連からは長谷川敏郎会長、真嶋良孝常任委員らが参加しました。
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オンラインで交流する農民連とKPLのメンバー。パネル上段真ん中がコ事務総長、中段右が長谷川会長、真ん中がハ議長、下段右が真嶋常任委員 |
韓国のTPP11加盟は農業抹殺
はじめに、KPLのハ議長があいさつ。現在、米の生産量が増え、政府の市場隔離が不十分なことから米価が下がり、韓国の農民は米価闘争を行っていることを報告しました。
韓国政府が、57カ国と17件のFTA(自由貿易協定)を締結し、農民の多くが市場開放による被害を受けているもとで、さらにTPPへの加入を公言していることを批判。「TPPのもとでの日本の農民の状況とそれへの農民連の対応について意見を聞きたい」と述べました。
同時に、農民連が水田活用交付金の見直し問題で反対闘争を行っていることに支持と連帯を表明。「今日を機会に双方の交流が発展することを期待する」と結びました。
農民連から長谷川会長があいさつ。2010年代初頭からの日本でのTPP反対のたたかいについて、「日本農業や食の安全、医療などを犠牲にする自民党政権の対米従属・総自由化路線に対し、全野党が初めて一致して反対を掲げ、国民的な運動の共同・連帯は戦後史上空前の規模に達した」と紹介。「今日の懇談がお互いの組織の発展につながる意見交換会になることを期待する」と述べました。
続いて、TPPに関連した日本と韓国の状況について意見交換しました。
コ事務総長は、TPP11の農産物自由化率が96・1%の全面開放水準で、参加国はオーストラリア・ニュージーランド・チリなど農畜水産物と木材の輸出強国であり、「TPP11が韓国の農業、漁業、林業に及ぼす影響は抹殺水準だ」と強調しました。
KPLは、農畜産業、林業、水産業団体との連帯を通じて中央と地域に「共同行動」を結成し、運動を主導していることを紹介し、「新自由主義の開放農政に反対する突破口の機会にしなればならない」と表明しました。
日本は自由貿易 弊害が短期間で
農民連の真嶋常任委員が、日本の状況を報告しました。
2017年にトランプ米大統領が「TPP脱退」を宣言し、死んだはずのTPPをTPP11として延命させた「主犯」は安倍・自公政権だったことを批判。TPP11は、農産物についてはTPPの内容を踏襲しており、「日本が受ける食と農への打撃は何ら変わっていないどころか、さらに悪化する可能性がある」と強調しました。
17年から20年の間に日本で生産額が増えたのは牛乳と果実だけで、他は減っていることを指摘し、「豊作やコロナ禍などの要因があるが、TPP11・日米FTA・日欧EPA(経済連携協定)の発効に伴う輸入増が大きな原因だ」とし、発効1〜2年で大きな被害が出ていることを強調。その上で、「農民連とKPL、KWPA(韓国女性農民会)との連帯・共同をさらに発展させよう」と呼びかけました。
農民連とKPLは、今後も、交流と意見交換を続けていくことを確認しました。
(新聞「農民」2022.4.11付)
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