「農民」記事データベース20220411-1500-15

農民連会員村長の長野県中川村

地産地消のおいしい給食

中川農民組合株式会社大島農園

大島 歩さん〈手記〉

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 長野県上伊那郡中川村は、長野県南部・伊那谷にあり、村の真ん中を天竜川が流れ、南アルプスと中央アルプスを望むことができます。「日本で最も美しい村」連合にも加盟しており、「壮大な自然」と「人々の暮らし」が織りなす里山の風景が、本当に美しい村です。農民連会員の宮下健彦さんが村長を務めています。

 お米、長芋、ネギ、アスパラ、りんご、ブドウ、梨、いちご、市田柿、きのこ、鹿肉などのジビエ…。この地で育まれた旬のものは、正直なところ、なんでもおいしい!


給食は食育そのもの
地域の豊かさ伝えたい

 中川農民組合の会員も納品参加

 今回ご紹介したいのは、中川村の「給食」です。

 まず、農産物の「地産地消」の推進。それを支えるのが「おいしい野菜・果物届け隊」という、“生産者”、“学校と保育園の栄養士”、食材手配をする“地元スーパー”の3者からなるグループです。中川農民組合からも長芋、梨、葉物などを納品している生産者がいます。

 毎月の定例会で生産者が「1〜2カ月先にとれるもの」を報告し、それを参考に栄養士の先生が翌月の献立を考えます。お米・野菜・果物……おいしい旬の地物をふんだんに取り入れ、化学調味料等を使わずに手作りしています。

 生産者の畑の見学会を開催し、お互いに学び合う機会となっています。

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おいしい給食で子どもの笑顔がはじけます

生産者・栄養士・地元スーパーでつくる

おいしい野菜・果物届け隊

 「伝える、きく」をとても大切に

 また、「伝える、きく」ということを、とても大切にしています。毎日「今日のきゅうりは〇〇さん、ブドウは□□さんのものです」と、子どもたちに伝えられます。中学校のランチルームで調理員さんたちは、子どもたちと一緒に給食を食べます。

 各クラスには「今日の給食レター」が届き、生産者さんの話や、献立に関するひとこと等が書かれています。そのレターには返信用スペースがあって、各クラスからの感想が再び給食センターに届きます。

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「届け隊」で、大島農園ハウスの葉物を見学しました

 給食の時間は豊かなひととき

 昨年、中川中学校に赴任された家庭科の先生が「中川村の子どもたちは食育のテスト結果が抜群にいい。調理実習のときの手際もとてもいい」と驚かれていました。また、村出身の若者が「タイムスリップするなら、給食の時間に戻りたい」、校長先生が「出張のときが手作りカレーの日で残念!」(笑)とおっしゃるなど、給食の時間は子どもたち・先生たちにとって、とても豊かな時間であるのだなと思います。

 給食は、食育そのものです。どのような食材を選び、どのように作り、どのように食べてもらいたいか? 背景にどんな人、思い、環境が存在するか? 毎日の給食を通して、腸レベルで(笑)伝えることができます。

 農や食のあり方 地域ぐるみで…

 今後は環境に配慮し、人も地球も元気になるような農や食のあり方を、地域ぐるみで考え、子どもたちが、世界のどこに行っても自慢できる、そういう給食、ふるさとを手渡していきたいです。

 なお、4月から、給食に使うお米が100%村内産になります(公費負担)。


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三重県大台町 成田千恵子

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茨城県笠間市 笹嶋 武

(新聞「農民」2022.4.11付)
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2022年4月

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