農民連ふるさとネット第19回総会
家族農業と地域を元気に
学校給食を地域に取り戻そう
国内増産を大きな世論に
定期協議で学習、交流を
農民連ふるさとネットワークの第19回総会が7月28日、オンラインで開催されました。
総会に先立ち、愛知学院大学の関根佳恵教授による学習会を開催しました。関根さんは「家族農業と地域を元気にし持続可能な社会を作る―各国における学校給食等の公共調達の変革」と題し、ブラジルやアメリカ、韓国ソウル市、フランスの事例を紹介。「公共調達の変革は多様な社会問題解決の『親鍵(マスターキー)』になりうる。使うかどうかは政治的意思で決定でき、法制化でより強力に推進できる」と話し、「どのような社会にするのか私たちの選択が問われる。一人ひとりが考え地域で変化を起こす必要がある」と呼びかけました。
「憲法と農業の危機」の学習を
総会の開会あいさつで根本敬代表は「学校給食の無償化と有機農産物の提供は、農民連として『やってもやらなくてもいい課題ではない』」と指摘。「『安全な食料は、日本の大地から』の実践は、日本の真の独立、主権を取り戻すことになる」と訴えました。
農民連の長谷川敏郎会長は「食料の国内増産への転換を大きな世論にするために、産直運動の中で『憲法と農業の危機』の大学習運動が重要」と指摘。新日本婦人の会と農民連の産直の「4つの共同目標」を産直組織と農民連会員が学習し、全組織で新婦人との定期協議を実施し、学習・交流をすすめることを呼びかけました。
湯川喜朗事務局長が活動報告と議案の提案を行いました。2年連続の米価暴落で準産直米が厳しい一方、産直カタログは新しい企画提案で少しずつ取り扱いを伸ばしてきたことなどを報告。注文の増えている無農薬などのこだわり米の強化や、農民連の仲間が作った飼料用米を会員の畜産農家が活用する計画、新婦人との産直の定期協議を、学習を含めて実施する、農民連食品分析センターの検査や「OKシードマーク」の活用などの事業計画を提案しました。
新婦人の会員と学習・交流実践
討論では6人が発言。千葉・多古町旬の味産直センターの小林由紀夫さんは新婦人とのオンライン田植え交流会の様子を動画で紹介。「参加者の半数が初参加です。今まで参加できなかった人が参加でき、じっくり学習ができることがオンラインのメリット。コロナ禍の中でも新婦人のみなさんと学習・交流・視察を深めることはできると思う」と話しました。
農民連ふるさとちばネットワークの小倉毅さんは、米価大暴落のもとでの大規模農家の実態と家族経営の必要性を報告。「いすみ市では市長から『有機米の給食ができないか』との相談に、新聞『農民』読者のいる営農組合が応え、民間稲作研究所の支援で実践。取り組みによって市の職員や保護者の雰囲気が変わり、今では移住したい町で1位を連続してとる状況になっている。全国でも私たちが中心になって広がれば大きな社会運動になりうる」と話しました。
山形・庄内産直センターの小林隆範さんはネオニコチノイド系農薬を使用しないネオニコフリーの米作りが、今年は全体の4割を超える見込みを報告。課題として「場所によっては玄米用の色彩選別機を使用しないと等級が2等や3等となるケースが多くある」ことをあげ、センターで共同の色彩選別機導入を検討していることや、農民連食品分析センターの検査活用などを紹介しました。
神奈川農畜産物供給センターの五十嵐順一さんは新婦人東京都本部と、この間3回の学習会を行ってきたことを報告。
また、産直肉を生産している丹沢農場と協力関係にある岐阜、愛知、宮城の農場が各地の県連の協力で農民連に加入したことも報告しました。
福島農民連産直農協の佐々木健洋さんは再生可能エネルギーの取り組みについて報告。「みどりの食料システム戦略の中で営農型太陽光発電の資材への2分の1の補助もある。こうした制度も活用し全国でチャレンジを」と呼びかけました。
若い世代同士の新たなつながり
農民連にいがた産直センターの鈴木亮さんは「産直を始めたころとは役員も入れ替わっており、若い世代同士のつながりを作るきっかけにと、30代の生産者のトウモロコシ畑で、学習も交えた収穫交流会を開催した」と話しました。
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総会で選出された新役員は次の通りです。
代表 根本敬
副代表 小倉毅、鈴木弥弘
事務局長 湯川喜朗
理事 井上達也(新)、小林隆範、小林由紀夫、佐々木健洋、鈴木亮、田食道弘(新)、種石かおり、本多正一、松田浩二(新)、渡邉満広
監事 竹上一彦、長峰雅
また、退任した役員は次の通りです。
理事 太田透、長谷川敏郎、星光一
監事 飯島幸三郎
(新聞「農民」2022.8.15付)
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