「農民」記事データベース20220919-1521-04

いわて食・農ネット
農協組合長と懇談

自給率向上で力を合わせよう


国産食料増産、家族農業支援など
個人署名を広げようと呼びかけ

 いわて食・農・地域を守る県民運動ネットワーク(いわて食・農ネット、県内18団体と個人で構成)は8月、県内の農協組合長への訪問・懇談を行いました。全国食健連による「食料危機のもとで、国産食料の増産、食料自給率向上、家族農業支援強化を求める請願」個人署名を広げることを呼びかけるもの。懇談では、地域の深刻な実態を聞きながら「食料危機の問題で共同を広げよう」と提起しました。

画像
岩手ふるさと農協(右側)と懇談する、食・農ネットのメンバーら

 肥料・飼料価格高騰に危機感

 各農協ともに共通して真っ先に出されたのが肥料高騰の問題。「来春の肥料確保に尽力するのが先決」という声がそろって出されました。「施肥量2割減らせば、高騰分の7割支援」という政府の対策にも不満がくすぶっています。「来春に農家に配る化成肥料は、農協として成分をあらかじめ減らしたものを準備することを検討」などの対策も講じつつ、「簡単に2割減らせなどと言わないでほしい。収量が減る分はどうしてくれるのか」と怒りの声が上がりました。

 飼料高騰では、特に酪農の危機感が強く出されました。乳価が1キロあたり10円値上げで妥結しましたが、この値上げ幅では昨年までの飼料値上がり分しかカバーできないと言います。「今年に入っての飼料高騰分は、結局は酪農家がかぶる。10円の値上げも11月からで、需要が減る年末に生産調整をせざるをえない」(岩手ふるさと農協)と危惧します。

 米価と需給に責任もたない農政

 米価については、どの農協も「昨年の全農岩手県本部の概算金は1万円(60キロ)を切った。この米価では農家はもたない」と、値上げを求める姿勢を示しました。ただし、「出荷先と契約済みではあるが、去年の同時期と比べると在庫はやや多い」と言います。米の価格と需給に責任を持たない農政に対し「平成5(1993)年大冷害の教訓が全く生かされていない。自動車やテレビを食べることはできない」という厳しい批判の声が上がりました。

 水田活用交付金削減に憤る意見

 水田活用交付金の削減についても「牧草は3年目以降ようやく飼料としてモノになる。水張りしなければ交付金の対象にしないなどバカげている。金を出さないための見直しだ」「飼料作物が影響を受ける」「管内で毎年40〜50ヘクタールの水田が減っている。現場をわかってない」と憤る意見が相次ぎました。政府は主食用米生産を抑えて「高収益作物への転換」を進めています。しかし、野菜産地でも経営状況は明るいものではありません。「山間地の奥中山特産のレタスが最盛期だが、安いため廃棄せざるをえない状況」(新岩手農協)など、深刻な実態が浮き彫りになりました。

 懇談を受けて署名寄せられる

 農政のありかたについては、どの農協も基本的な国の姿勢をただす意見が共通しています。政府による肥料等の高騰対策をある程度評価する農協幹部も「農業全体の予算はまだまだ必要で、防衛費並みに農業予算を充てるべき」と国の姿勢を厳しく評価しています。

 食料自給率と食料安全保障について、国が責任をもつよう求めると同時に「農協としても自給率目標を定め、対策を求めていきたい」という決意も語られました。

 懇談を受けて、農協からはさっそく「職員分を集めました」など、個人署名が寄せられています。いわて食・農ネットでは、引き続き構成団体に署名を呼びかけるとともに、11月にはグリーンウエーブ行動で全市町村・農協への要請・訪問を行う予定です。

(新聞「農民」2022.9.19付)
ライン

2022年9月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2022, 農民運動全国連合会