「農民」記事データベース20230612-1556-11

無農薬・有機農法で
アシタバとイチジクを栽培

アシタバづくりを地域に広げたい

広島 福山市
高橋善信さん(74)信子さん(73)


安全な食べものは自然の循環から

 広島県の東部、福山市の沿岸部で暮らす高橋善信さん、信子さん夫妻は、自宅横の畑でアシタバづくりをはじめて今年で3年目になります。

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福山市鞆町(鞆の浦)で二人で営んでいる「喫茶セレーノ」の展望デッキで。善信さん(左)と信子さん

 「瀬戸内海の島で自生のアシタバを初めて食べて、そのおいしさに感動した。調べてみると食物繊維が豊富で、血管を強くし、疲労回復など体にとても良いことも分かった。この健康野菜を自分で作ってみたいと思った」と話す善信さん。昨年、地元のJAが運営する市場に初めて出荷。「でもアシタバを出荷する人は他にいなくて、地域ではほぼなじみがなく、食べ方から説明して買ってもらった」と妻の信子さんは苦笑いします。

 「昨年は141本植えて、今年は256本ほどを植えたので来年はたくさん出荷して多くの人に知ってもらい、食べてもらいたい」と善信さんは意気込みます。

 また、今年から西洋イチジクの栽培にも挑戦しています。先代が育ててきた、西日本に広く分布する蓬莱柿(ほうらいし)という品種ではない、糖度30度を超えるというビオレソリエスなど西洋品種6種16本を苗木から育てています。

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アシタバの茎を切るとカルコンという黄色い液体がにじみ出てきます

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「アシタバは天ぷらが一番おいしい。バナナと牛乳のスムージーもオススメ」と信子さん

 脳の発達と食の関係伝えたい

 もともと親の代が兼業で米とイチジクの生産・出荷をしていましたが、善信さん自身は54歳で仕事を退職するまで、ほとんど農業に携わることはなかったといいます。先祖の残した農地を放っておけないと、JAの農業塾に通い、野菜づくりを始めました。

 「安全で体に良い食べ物は、自然の循環や自分たちの無理のない営みから作られるもののはずで、今はあらゆる循環体系が悪くなっていると思う」と話す善信さんは土づくりを何より大事にしています。田んぼだった土地を3年かけて、牛ふん堆肥をはじめとする有機質肥料を入れて改良してきました。

 アシタバもイチジクも無農薬の有機農法で作り、安心して食べてもらいたいと考えています。「一緒に作る仲間を増やしていって、ゆくゆくは体に良い地元野菜としてアシタバを特産品にしたい。孫には農業か第一次産業に就いてもらえるように頑張らないと」と善信さんは笑います。

 小学校の教員だった信子さんは「学校仲間たちと食の問題についてよく話す。子どもたちの脳の発達と食べものの関係は否定できないと思う。消費者にも広く伝えていかないといけない」と話します。

(新聞「農民」2023.6.12付)
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2023年6月

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