原発事故の国の責任問う
福島・いわき市民訴訟
国を免罪した最高裁の
不当判決乗り越えよう
最高裁へ要請と報告集会を開く
2011年3月11日の福島第一原発事故の責任を国と東電に問うため、福島県いわき市の市民が起こした「ノーモアフクシマいわき市民訴訟」の原告団・弁護団は8月17日、最高裁判所への要請行動と報告集会を開催しました。
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会場いっぱいにつめかけた参加者 |
昨年6月17日に最高裁は生業訴訟、群馬訴訟、千葉訴訟、愛媛訴訟の4件について、「国に原発事故の責任はない」とする不当な判決を出しました。この不当判決後、初めての高裁判決となったいわき市民訴訟の仙台高裁判決では、規制権限を使わなかった国の責任を繰り返し指摘するも、「権限を行使しても事故を『必ず』防げたとは言えない」と国を免責しました。
弁護団は「法と良心に基づかないゆがんだ判決」と指摘。最高裁に「この判決を出した第2小法廷以外の法廷に本件を係属させること」を要請しました。
司法と東電と国の癒着を指摘
報告集会で弁護団は「原発事故の被害は一企業(東電)には償いきれないもの。国の責任が認められなければ完全な被害救済は見込めないが、裁判所は論理破たんを起こしてまで国を免責した」と指摘。最高裁判決を乗り越える必要性を訴えました。
上告にあたっては、専門家7人が意見書を提出しました。日本環境会議理事長で一橋大学名誉教授の寺西俊一さんは、「原発事故被害は公害であり、国を免責しているが事故の反省と教訓はどこに生かされているのか」と指摘し、「ノーモア原発公害アピール」に基づく「市民連絡会」の発足を準備していることを紹介しました。
特別報告ではフリージャーナリストの後藤秀典さんが「『国に責任はない』原発国賠訴訟・最高裁判決は誰がつくったのか」と題して講演。
6・17判決の多数意見を作成した裁判官3人が、退官後に東電の代理人をしている法律事務所に天下り、または裁判官になる前に在籍するなど、東電と関係があったことや、そうした法律事務所が経産省と人事交流を行っているなど、司法と東電、国の間の癒着が広がっていることを指摘しました。
被災者の真の救援実現まで
原告団の伊東達也団長は「6・17判決を乗り越える最初のたたかいとなることに責任を感じている。乗り越えるための最大の力は世論だ」として数万単位の団体署名や個人署名への協力を呼びかけ「このままでは再び原発事故が起きてしまう。二度と事故を起こさせないよう、被災者の真の救援実現までがんばろう」と訴えました。
団体・個人の署名に協力を
団体・個人署名ともに農民連も参加する「原発をなくす全国連絡会」も協力しています。ぜひご協力をお願いいたします。
署名用紙のお問い合わせは農民連本部までご連絡ください。
(新聞「農民」2023.9.4付)
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