「農民」記事データベース20240101-1583-11

食でつながる文化祭

奈良県農民連 4年ぶり開催
明日香

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二胡と農民連事務局バンドの演奏
自然農法による野菜栽培の畑見学

 奈良県農民連は、12月3日、明日香村健康福祉センターで「食でつながる文化祭」を4年ぶりに開催し、生産者、消費者など合計101人が参加しました。

 地場・無償化を
 給食のおはなし

 はじめに、近年注目を集めている給食への地場農産物や有機農産物の導入についての映画「希望の給食」を上映。ステージでは、映画のほか、心地の良い音色の服部孝志さんによる二胡演奏と大阪&奈良県農民連事務局で構成された中西バンドによる演奏で盛り上がりました。

地場産や有機給食の取り組み紹介

 給食のおはなしでは、保護者・生産者・給食関係者など様々な立場から報告を行いました。

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学校給食について語り合いました

 奈良の学校給食を考える会代表の上市佳織さん、奈良県農民連青年部長の原澤康治さん、大和郡山子どもの食を考える会の喜多麻有子さん、新日本婦人の会の加奥有希さんが登壇しました。

 上市さんはパワーポイントを使い県内各地域で地場産や有機給食の取り組みが進んでいることを報告。活動の一つのテーマである「つくる人を増やす」ためにも生産者が食べていける営農の中心に地場産学校給食があると話しました。

 原澤さんは、農業をする人を増やし、食料を守るために、生産コスト割れの米作りからの転換はまったなしと指摘。世界的に食料の奪い合いが始まっているなかで、今年から米作りを始めた自身の経緯を報告しました。

 喜多さんは、2013年からスタートした玉ねぎプロジェクトに参加したことがきっかけで夫が農業を開始したことを話し、今ではさつまいも、ニンジンなども納入していることを報告。「会の体験で子どもだけでなくおとなも農業を身近に感じることにつながっている。子どもが大きくなっても活動を続けていくことが目標」だといいます。加奥さんは給食無償化の新聞記事をきっかけに、会で学習を進め、憲法26条に基づく「教育の無償」と給食を区別しないよう県など行政への働きかけを行っています。特に給食は子どものライフラインで子どもの権利であり、子どもの権利保障という意味でも、学校給食は無償化されるべきだと訴えました。

若い人が希望の持てる農業を

 若手農家の畑を見学して交流

 次に、会場すぐ近くでニンジンを生産する原澤さん(38)の畑と、自然農法で10種類ほどの野菜を生産する高橋洋一さん(34)の畑を見学しました。

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若手農家の畑を見学

 原澤さんは就農して11年目。今は結婚して自宅がある天理市で米やスイカなどを作りながら明日香村でも約3反の畑でニンジンを作り、橿原市の学校給食に出荷しています。しかし「今年はシカの被害でかなりの減収でショック」と落胆した経験を語りました。

 高橋さんは東京で会社員をしていたときに和歌山県の「橋本自然農苑」の動画を見て衝撃をうけて会社を退職し、今年3月まで橋本さんの農場で2年間の研修を受けて独立。出身地の奈良県での就農を決意して農民連に相談し、明日香村で夏から野菜づくりを始めました。

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県連女性部がおでん・おにぎりセット、お土産に野菜と無農薬米を準備しました

 農民連の産直センター代表の宮本照三さんは「若い人ががんばっているのは頼もしい。農業で苦労している若い人が希望をもてる農政に変えていきたい」と話していました。


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長野県小諸市 布施和子

(新聞「農民」2024.1.1付)
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2024年1月

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