「農民」記事データベース20240115-1584-03

福島の切り捨て許さない

ALPS処理汚染水の
海洋放出止めよ

福島県農民連が政府、東電要請


原発の息の根止めるまで
たたかい続ける

 福島県農民連は12月19日、東京電力と経産省や農水省、環境省の省庁への要請行動を行いました。

 要請前には首相官邸前での抗議行動に取り組みました。根本敬県農民連会長は「2020年度の賠償の東電負担は赤字だということでゼロ円。なぜ被害者である私たちが税金から払わなければならないのか」と指摘。海洋放出の地元合意の約束も反故(ほご)にするなど約束を全く守らない姿勢を糾弾し、「私たちは原発の息の根を止めるまでたたかい続ける。それが福島で生きる証だ。がんばろう」と訴えました。

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首相官邸に向けて怒りの声を上げました

 福島ではALPS(アルプス)処理汚染水の海洋放出が8月から強行されています。原発敷地内への地下水流入対策として、地盤を凍らせて地下水を遮る凍土壁を使っていますが、一時的な対策として導入されたもので、345億円使って建設され年間十数億円かけて運用されています。一部凍結がうまくいかず地下水流入を止めきれないなど問題があり、交渉では恒久的な対策の実施を海洋放出中止と合わせて要求しました。

 国と東電は、恒久対策の検討経過も検討期限も示さず、参加者は「県民の意見を聞かず海洋放出を行う前に、恒久対策を行い汚染水の発生をゼロにすべきだ」と強く求めました。

 福島のみなさんが、事故後ずっと求めているのが、放射線で汚染された農地で働く農民の健康対策です。農家の被ばくを防ぐ施策は現在まったくありません。

 (1)厚労省と農水省が連携して健康被害を防ぐ対策を(2)農地内でも線量に差があるので健康対策ができないなら、農地一筆ごとの放射線量の検査をせよ(3)何も施策がないなら、せめて条件不利地域として認め、直接支払いの対象にしてほしい、の3点を要求。4月の要請行動では農水省と厚労省が相談することを約束していましたが、担当者が把握していないありさまに怒りの声が沸き起こりました。

 「省内で検討し、結果を文書で知らせてほしい」との要求にも、農水、厚労の両省ともだんまりという異様な状況でした。

 1年以上交渉し賠償認めさせる

 またあんぽ柿と凍(し)み餅が一切出荷できないにもかかわらず20年以降の賠償が支払われていない生産者に対し、東電は22年12月に、「状況を詳しく伺って検討する」と返答したものの、いまだに賠償が行われていないことに対し、速やかに賠償を行うことを要求。

 東電は「年内に合意書を出せるよう努力する」と回答しました。その後12月28日に要求していた満額の合意書が示され、合意に至りました。1年以上に及ぶ長い交渉でしたが、農民連が一丸となってたたかった大きな成果です。

(新聞「農民」2024.1.15付)
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2024年1月

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