「農民」記事データベース20240212-1588-10

たたかう農民連に共感

千葉 川並正樹さん(45)
山武(さんむ)市(山武農民組合)


仲間とともに農政変えたい

 商社を退職して就農から5年目

 千葉・山武農民組合の川並正樹さん(45)=山武市=が就農したのは5年前です。その前は、商社で働いていました。

 学生時代から、エネルギー・環境問題に関心があり、有機農業やアグロフォレストリー(農業と林業・畜産業を同時に行うこと)などに実際に携わってみたいという夢を抱いていました。

 退職前に有給休暇を利用し就農先を求めて各地を見学しました。そうした中で出会ったのが、 千葉県の「さんぶ野菜ネットワーク」でした。

 5年間は国からの農業次世代人材投資資金の給付を受けながら、山武市の畑を借りて営農生活をスタート。とくに大変だったのが就農1年目。令和元年房総半島台風で、壊れた小屋の屋根が飛んできたことにより購入したばかりのトンネルネットがズタズタに切り裂かれ、使い物にならなくなりました。倉庫もシャッターが壊れるという被害を受けました。停電も3、4週間続き、畑も水浸しになり、作付けした大根はほぼ収穫できなくなりました。

 さんぶ野菜ネットワークからは、数年前に独立しました。現在は、主に東京・千葉・埼玉・神奈川の大手スーパーを中心に出荷。現在4カ所の畑合わせて約2・5ヘクタールの畑で冬瓜、大根、ニンジン、サニーレタスをメインにサツマイモ、パクチー、マクワウリ、ピーマン、オクラ、ナス、キュウリ、シシトウなど多品目の栽培にも挑戦中です。

 夫婦で役割分担して、正樹さんは主に畑管理作業、お連れ合いは収穫した農産物の調整作業を担当しています。将来は人を雇って観光農園のように収穫体験などを通して多くの人たちと関わり合いながら規模拡大したいと意気込みます。

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ほ場で夢を語る川並さん

収穫した野菜で消費者を笑顔に

 農業大切にする世論を大きく

 「農業は人を幸せにするもの。収穫した野菜で食べる人の笑顔が見られ、交流も生まれる」と就農してからの5年間で確かな手応えを感じています。さらに有機農業に取り組み、ぼかし肥料の投入などにより食べた人が「甘くておいしい野菜」と喜んでくれることが励みになっています。

 農民連との出会いは税金申告。地元の農民連会員から千葉県農民連の森吉秀樹事務局長を紹介してもらい、一緒に税金申告に取り組むことになりました。「同じ志をもった仲間を増やしながら農政を変えようと訴えているところに共感した」と、2年半前に農民連の会員になりました。「食とくらしは密接に結びついている。農家だけでなく消費者とも一緒になって行動しているところが農民連の魅力でもあります」と希望を託す川並さん。

 食料自給率38%の現状を変えるべく、「国の防衛の前にやるべきことは食料の確保。農民連の仲間とともに、農業を大切にする世論を大きくしたい。何か変化を起こせるのではないかと考えています。みなさんと一緒に行動に参加できたらいいですね」と展望します。

 川並さんは1月25日に開かれた千葉県連大会で執行委員になりました。

(新聞「農民」2024.2.12付)
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2024年2月

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