「農民」記事データベース20240311-1592-08

農家のための
税金コーナー
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インボイスで税務署も大混乱?
消費税も自主申告の出番

 3月31日はインボイス(適格請求書)制度の導入後、初めての消費税申告期日になります。税務署も混乱しており、とんでもない事態が起きています。

 埼玉県のAさんは2023年10月からインボイスに登録し、合わせて簡易課税制度選択届出書も提出しました。

 所管の税務署から「消費税相談会」の案内が届き、10~12月の売り上げを持参して指定時間に来るように書いてありました。

 当日は税務署員から、農業は簡易課税でみなし仕入れ率が8割で2割特例を選択した場合と同じだと説明があり、税務署員指導の下でパソコンに入力したところ、3カ月の売上高220万円で消費税額が4万円になりました。年間では16万円の税負担となり、大変な増税だと岸田首相を恨みながら家路についたAさん。

 ところが、2日後に税理士の消費税のシミュレーションを見ると売上高が216万円で消費税が3万1900円と、自分とほぼ同じ売り上げで7~8千円も税額が低いことに気が付きました。

 再度税務署に向かい1時間待った後に事情を説明しました。署員は「そんなはずはない」と言いながら計算しましたが、3万2500円の消費税に。説明会で誤った税額を説明されたことになりました。

 Aさんは「自分は気が付いたが、他の人は余分に税金を支払うことになる。どうなるのか」と署員に質問すると、「本人が気が付かなければどうすることもできない」という無責任な返答。消費税という悪法の上に余計な税金を徴収するなど許されるのでしょうか。

 Aさんは「税務署は署員の教育を十分に行っているのだろうか。政府は国民の生活をどのように考えているのか」と怒りがわいてきました。

 税務署の対応能力不足は、インボイス導入時に再三指摘されていましたが、懸念が現実のものとなっています。

 税務署に対応の是正を求めるとともに、自らで税額を計算する自主計算、自主申告の重要性がますます増しています。

 農家の経営を守るために、各地での学習会を進めましょう。

(新聞「農民」2024.3.11付)
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2024年3月

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