乳価三年連続引き下げ
農水省、不足払い制度廃止もねらう
農水省は今年度の加工原料乳保障価格(保障乳価)を五十銭引き下げ、七十三円三十六銭とすることなどを決めました(三月十八日・畜産審議会)。政府は関連対策も含め農家の手取りは確保したなどと言っていますが、これは自民党と農水省が先に決めた二〇〇一年からの加工原料乳不足払い制度の廃止(「新たな酪農・乳業対策大綱」)を見越したものです。
酪農経営を維持するためにまず大事なのは、乳価が保障されること。しかし、その乳価は三年連続で引き下げられ、二十五年も前の水準になっています。農水省は引き下げの理由を、「飼料が安くなり生産費も下がったため」などと説明していますが、農水省の城知晴審議官は、四分の一の農家がこの生産コストを上回っていることを認めました(三月十八日開かれた参院農水委員会)。
九八年の酪農家戸数は、三万七千戸で前年比五・一%の減少。「酪農家が努力して生産性を上げても、乳価下げでその努力がみんな泡となって消えていく」(畜審行動に参加した持田冠児・畜全協会長)ものです。
また政府・与党が決めた奨励金の交付(牛一頭当たりの草地面積に応じてランク分け)も、これまであった事業の衣替えで、単年度措置の十二億円も含め七億円増えただけ。積みざらしになっている輸入牛肉の関税収入二千四百六十八億円(衆院農水委員会で日本共産党の藤田スミ議員が活用を要求)のわずか〇・三%でしかありません。
しかも、デントコーン畑と放牧地を同一に扱うのか、粗飼料を売買した場合にはどちらに交付するのかなど、北海道庁の農政担当者も「宿題が多く、いつ実施できるか分からない」と頭を抱えているとか…。「直接支払い」そのものを拒否するつもりはありませんが、まずは下支え制度を維持し、保障価格の水準を引き上げることが先決です。
(新聞「農民」1999.4.5付)
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