「農民」記事データベース991018-424-02

来春は非遺伝子組み換え種子で作付けを

アメリカの生産者団体へ日本の消費者16団体が要請


 遺伝子組み換え作物の健康や環境への危険性についての懸念が世界的に高まるなか、アメリカの生産者は輸出の落ち込みによる農産物価格の大暴落、穀物商社や食品企業の組み換え作物買い入れ拒否などで苦境に立たされ、来春の種子購入を前に思案に暮れています。

 こうしたなか、日本消費者連盟、主婦連合会、消費科学連合会、東京都地域婦人団体連盟、家庭栄養研究会、遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーンなど十六の消費者団体は十月六日、米国生産者団体と農産物関連企業にたいし、輸出市場の需要に見合った非組み換えのコーン、大豆、ワタ、ジャガイモ、ナタネの生産と分離貯蔵・輸送を要請する公開文書を発表しました。

 このなかでは、「北米農家が価格の暴落に直面していることの理由のひとつに、消費者が望まない遺伝子組み換え作物を混ぜて輸出していることがある」としています。そして「来期の種子の購入前に、日本の消費者の非組み換えへの要求をお伝えすることで、組み換えでない種子をぜひ選択してくださることを心から期待するものです」と訴えています。

 また非組み換え作物の輸出については、組み換え混入が○・一%(検出限界値)以下であること、また日本での未承認品種が混入していないことも強く要請しています。

 この要請文書は、アメリカ大豆生産者協会、トウモロコシ生産者協会などの生産者団体、穀物商社、農産物関連企業に送りました。

「米国生産者の悩み」

 ニューヨークタイムス(八月二十九日付)は、次のように伝えています。

 「米国農家は今年の春、遺伝子組み換えコーンと大豆の種を播くためにプレミアム価格を払ったが、収穫の秋が近づく現在、国際バイヤーの多くがそれらの穀物は買わないと言っている。多くの国の消費者や食品企業がモンサントやデュポン、ノバルティス社が作った組み換え作物を避けるようになっている」

 「大豆やトウモロコシを含む約三分の一の穀物が輸出向けだ。今年、米国農家は六千万エーカー(英国ほどの面積)の組み換えコーンと大豆を生産した。これは大豆の半分、コーンの三分の一の面積に当たる。農家は今年のコーンや大豆が売れることを期待しているが、すでに組み換えコーンの七品種(収穫予想の五%)はコーン輸出業者から買い入れ拒否が伝えられている。それらのほとんどは家畜飼料に回されるだろう」

 「家族農家を代表する米国トウモロコシ生産者協会は、来春は普通作物だけを生産するようにすべきだと、メンバーに呼びかけた。組み換え作物を米国が今後も輸出できるのかという大勢の問い合わせに応えることが出来ないからだ。ほとんどの穀物は、この十年間で最低価格となっている」

(新聞「農民」1999.10.18付)
ライン

1999年10月

HOME WTO トピックス&特集 産直・畜産・加工品 農業技術研究
リンク BBS 農民連紹介 新聞「農民」 農とパソコン

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-1999, 農民運動全国連合会