「農民」記事データベース20010115-477-05

おいしい米 税金の自主申告

元気な活動紹介

山形・朝日村

 山形県農民連田川農民センターは米や、だだちゃ豆、赤カブ漬けの産直や税金の取り組みで元気な組織です。なかでも特に元気な朝日村の朝日支部を、田川産直センターの佐藤光雄さんの車に同乗して訪れました。
(冨沢清)


 七つの税金班

 大網地区防雪センターで十二月三日の夜、新年から出足早く税金に取り組むための会議があり、冷たい雨の中を夕食をすませた支部長の佐藤晃さん以下十四人が参加、各税金班がそれぞれ年内に第一回学習会の日程を申告しました。

 朝日支部は九つの班に五十二世帯、計百五人の組合員。そこに七つの税金班があり、男は建設業、女はサービス業などに働く兼業農家で、この日も効率的に会議を終わり、翌日の勤務のため早めに散会しました。

 朝日村村議で、田川農民センター組合長の遠藤重輔さん(65)は、増税をたくらむ国の策動を解き明かにし、「一月の全国大会までに組合員と読者を増やす目標を達成し、『米価は下げて税金はよけい取る』のは許さないという世論を大きくしよう」と訴えました。

 あぜみち講習

 田川農民センターでは、五年前からそれぞれの田を三回見まわり、分けつ状況、穂の出る時期を予測し、水や肥料はどうするかなど細かく検討し、各人のデータを記録する「あぜみち講習」で成果を挙げ、なかでも山間地で耕地面積の少ない朝日村の組合員がいきいきと取り組んでいます。

 六反歩の水田をもつ田麦俣地区の渋谷喜一さん(46)のお父さんは、自分が長年研究してきた稲作りと違うやり方に「こんなのはだめだ」と反発していたのが十俵もとれてびっくり。「農民連はたいしたもんだ」と熱烈な組合員に。

 三年前、初期のイモチ病になったのを知らなかった大網地区の渋谷みつほさん(58)は、組合の援助で使った薬が効いて一日で止まったことに感激して、いまでは夫の十和夫さんとともに熱心に会議に出ています。

 仲間ふやして

 会議では、組合員や読者を増やすのにみんなで対象をあげ、担当を決めています。遠藤組合長は「一年で読者が十五人増えましたが、支部ニュースが出てないので、この人にニュース係をやってもらうことにした」と農協を退職した今野太一さんを紹介してくれました。

 村の農家戸数七百十二戸のうち百三十二戸の大網地区ではすべてが兼業農家でその三割が組合員。その中の中村部落は半数、遠藤さんの住む関谷は九戸のうち五戸が組合員、二戸が読者です。部落の集会があると農民連や新聞「農民」の話がポンポン出て笑い声が絶えないそうです。

 米の収量増大

 何でこんなに元気なのか。遠藤さんは「ここは山間地で収穫がゼロの年もあった。採れても五俵から七俵。それがあぜみち講習で十俵もとれ、それがまたおいしいと評判になる。カブを作れば赤カブ漬けで売れる。さらに自主申告で納税者の権利に目覚め、自覚が高まり、仲間が増えて部落で気軽に活動できる。これが兼業農家が農業に励む元気のもとなんだ」と話しています。

 しかし、この村も過疎と高齢化が進み、十五戸の誉谷(たかたに)部落は、「嫁に来て六十年になるんだもの、ここが一番」という工藤すゑ子さん(82)を筆頭に三戸、七十代、六十代の工藤姓の三人のばあちゃんが住むだけです。

 困難な状況のなかでも、気軽に組合員のところへ出掛けて話し合い、農業を守る運動に取り組み、生産、加工、販売で実績をあげ信頼を得ている田川農民センターと朝日支部の活動に、だれかが言った「これが本当の農協活動なんだ」という言葉が耳に残りました。

(新聞「農民」2001.1.15付)
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2001年1月

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