「農民」記事データベース20010129-478-01

運動の前進へ、みなぎる熱気と確信

「農業・農山村の復権」高く掲げて

農民連第13回大会開く

 「厳しい農業情勢ながら活気に満ちた発言に心を打たれた。とりわけ若い人ががんばっている姿に胸が熱くなった」「この気持ち、この成果を明日からの地元での活動の力にしたい」――「農業・農山村の復権」を掲げた農民連第十三回定期大会が、一月十五〜十七日、すべての都道府県から選出された代議員を含む三百四十四人が参加し、静岡・熱海市で開かれました。


小林節夫さんが退任し新会長に佐々木健三氏

 政府を発動に向けた調査開始へ突き動かしたセーフガードのたたかい、国民諸階層との共同の発展、各地の多彩な生産・流通のとりくみの実践や組織の前進など、確かな手応えをつかんで迎えた二十一世紀最初の大会。互いの農業にかける熱い思いを共有し一体となった会場は、折しも押し寄せた寒波を吹き飛ばす熱気に包まれました。

 「農業・農山村の復権」について、小林節夫代表常任委員は開会あいさつ(3面)で、越後平野の排水事業を例にあげ「日本農業は文字通り血と膏(あぶら)、汗と涙の結晶のなかで築かれたもの。この農業を蔑み、あざ笑い、潰してきた政治をどうして許せるか」と、熱い思いを語りました。

会場から“増やすぞ新聞「農民」”

 谷口一夫事務局長は大会報告(3〜6面)で、「農民連がどれほどのスピードとテンポで組織づくりを前進させることができるか問われている」と述べ、一万部の新聞「農民」の拡大と、その半分を春の農繁期の前までにやりあげることを提起。「大会参加者が拡大チャレンジャーになり、全国の牽引者になろう」と呼びかけました。これを受けてさっそく実践が始まり、「会場から電話で拡大」とのニュースがまわりました。

 五百部の自主目標を超過達成した山形・田川農民センター、二年連続目標をやり遂げ読者を倍加した秋田県連の代表は、「目標を何としても」という奮闘と、新聞「農民」への共感の声を紹介。また困難を克服し前進に転じた組織の発言も目立ち、石川県連の西忠恭事務局長は米産直と新聞拡大で三百万円弱の滞納を一掃した経験を発言しました。

 大会会場では、関東ネットが昨年とりくんだトウモロコシのリレー出荷に、全国から種の注文が殺到。お米屋さんと協力した大収穫祭を成功させたほくほくネットや、茨城県南農民組合と新婦人新宿支部柏木班の“街おこし”など、多彩なとりくみが次々と語られるなかで、和歌山・紀ノ川農協の宇田篤弘組合長は、自らのとりくみを省みて「地域の農家の現状はもっと大きな飛躍を求めている。迷いはない。思いっきりやりたい」と新たな決意を述べました。

 セーフガードの発動を求める運動では、五十五市町村中五十三市町村で意見書を採択した高知県をはじめ、一千自治体を超えて広がっている各地の請願運動の発言とともに、農業がまったくない東京都千代田区・中央区で始まっている労働者の自主的な運動が話題に。「農民は決して孤立してないと感じた。よりどころはそこだと思う。そういう人に応えるようにがんばりたい」との感想が参加者から寄せられました。

感動呼ぶ多彩な実践報告

 補足報告では、真嶋良孝事務局次長が新たな資料をもとにWTO改定の根拠と展望を解明。岩手県の獣医師の浅野奈緒子さんは、昨年二月のWTO国際シンポに参加した後、「WTOは変えられるという確信をみんなに伝えたい」と六回の講演会を実施。「地域の広範な農民を農民連に結集し、広範な消費者とともに農民運動を展開していくために全力を尽くしたい」と農家とともに歩む思いを発言し、すがすがしい感動を呼びました。

 また、昨年大きな成果を残した固定資産税の引き下げ、「標準」廃止にともなう農民の悩みに応え会員に迎える税金運動も各地のとりくみが報告。ファーストフードや輸入冷凍野菜から残留農薬を検出し社会的な注目が集まっている農民連食品分析センターには、参加者から三十万円近いカンパが寄せられました。

 この大会では、農民連結成以来、代表常任委員を務めてきた小林氏が勇退し、佐々木健三新会長にバトンタッチしました。佐々木会長は「大会で出された各地の経験は農民連の宝だ。志を高くもって農業・農山村の復権に向けて全力を尽くそう」と決意を表明しました。

(新聞「農民」2001.1.22・29付)
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2001年1月

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