「農民」記事データベース20020603-541-03

BSEの感染経路

どこまで解明されたか

関連/BSE問題でシンポ

 武部農相は、五月十七日の記者会見で、九六年三〜四月に生まれた乳牛を優先的にBSEサーベイランスにかける意向を表明しました。これまで見つかった四頭の感染牛の生年月日が、九六年三月下旬から四月上旬までの間に集中していること、同じメーカーの代用乳を与えられていたことが判明したためです。
 BSEの感染経路はどこまでわかったのか――。農水省が三月に出した中間報告をもとに、同省のBSE原因究明チームに話を聞きました。


 代用乳、油脂?!

 中間報告が「感染源になった可能性を完全には排除できない」と指摘しているのが、全農が七〇%出資する子会社、(株)科学飼料研究所高崎工場が製造した代用乳。「ミルフードAスーパー」「ぴゅあミルク」などの商品名で、四頭すべてに与えられていました。農水省は現在、給与された代用乳の製造番号などを明らかにするために関係資料を分析しているといいます。

 「私たちが注目したのはその中の動物性油脂」と飼料課の担当者。「油脂そのものは安全だが、何らかの原因でBSEの病原体である異常プリオンが混入した可能性がある」といいます。使用された動物性油脂の一部は、オランダから輸入された粉末油脂でした。

 オランダは、八〇〜九〇年代に二万四千トンのイギリス産肉骨粉を輸入。九七年に初めてBSE感染牛が見つかり、昨年は二十頭、今年に入ってからもすでに七頭見つかっています。

 しかし、農水省がオランダに担当官を派遣して調べた結果は、輸入した動物性油脂は純度が高く、混入の可能性が低いものだったといいます。

 輸入肉骨粉?!

 代用乳とともに、「可能性は完全には否定できない」と中間報告に述べられているのは、牛の飼料への豚・鶏用肉骨粉の混入です。発生農家が使用していた配合飼料の製造工場はいずれも、「製造ラインを共用しており、切り換え時の洗浄が十分行われていたか確認できない」と指摘されています。

 しかし四工場が購入した肉骨粉は、国内のと畜場、食肉処理場から仕入れたものか、あるいは非発生国から輸入したものでした。その関わりで疑われているのが、三菱商事が九六年十一月にイタリアから輸入した百五トンの肉骨粉です。この肉骨粉は加熱が不十分で病原体が不活化していなかった可能性が高いうえに、なんと販売先が不明。「商社の中の商社」といわれる同社には考えられない失態。中間報告は「大部分は養鶏用飼料として使用された可能性が高いが、一部は他に販売された可能性もある」と指摘しています。


BSE問題でシンポ

岡山・津山市 各界から参加

 「BSE問題シンポジウム」が四月二十七日、岡山県津山市で開かれ、農家、消費者、流通業者、行政担当者など五十人以上が参加しました。パネリストは、日本共産党の中林よし子衆院議員、酪連和牛部の橋本健・津山支部長、津山ミート協同組合の北村啓次理事長、酪農家の山岸拓二さん(農民連会員)、主婦連の山田久美さんの五人。

 中林議員は「政府の責任を明記したBSE措置法を成立させ、すべての損害を補償させるために力を合わせよう」と報告。山岸さんは「乳価の下落を子牛と廃用牛で何とか支えてきた。それが半値以下になり、経営も生活もたいへん」と実情を訴えました。

 消費者の山田さんは「何より政府が信用できなくて肉を食べられなかった」と発言。また、橋本さん、北村さんも、BSEによって受けた苦労を訴えました。

(岡山農民連 坪井貞夫)

(新聞「農民」2002.6.3付)
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2002年6月

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