「農民」記事データベース20020603-541-18

支部訪問

福島県「浜通り農業を守る会」相馬支部

 「のうみんれんのいいところは“みんな”でおしえあって、“みんな”でいいこめたくさんつくっぺ、って所だ」「ンだンだ。秘密も隠しっこもなし。本当に腹割って話せるのは農民連だけだっぺ」――ここは福島県相馬市。五月十九日、「浜通り農業を守る会」相馬支部の「さなぶり会」(田植えの労をねぎらい、豊作を願う懇親会)を訪ねました。
(満川暁代)


みんなで教えあう、安心してつきあえる仲間です

 相馬市は人口四万人。古くから沿岸漁業と農業が盛んで、米を中心に野菜、果物……米部会会長の安部義雄さん(67)が「なんでもできるいいとこなんだ。魚や海の幸もウマイぞ」と胸を張る地域です。「浜通り農業を守る会」は福島県の沿岸部一帯、北は相馬市から南はいわき市まで百キロメートルにわたる広域単組。相馬支部は米パニックの翌年、一九九四年に十四人でスタートしました。米作りの技術交流や肥料の共同購入を中心に、毎年コンスタントに四〜五人ずつ増え、七年目の今年、四十七戸という大所帯になりました。

 月に一度は集まって“飲み会”

 田植え日和だったさなぶり当日。陽が暮れた頃、小さな集会所に三々五々、真っ黒に日焼けした会員が集まりはじめました。「田植え終わった?」「今終わったところさァ」。挨拶もそこそこに、「去年の栽培報告書と今年の栽培計画書、書いて出して。全員出ないと呑ませないゾ!(笑)」と中井信也事務局長の声。記入しているうちに、すぐに小さな会場が四十人あまりの会員で埋まり、お母ちゃんたちの手作りつみれ汁のいい匂いが漂いはじめました。

 農作業の節目節目に「呑むための理由を見つけては」月一回は寄り集まるという飲み会。一杯ひっかける前に、事務局が用意したレジュメにそって、手短に情勢や今後の日程などを相談します。この日も有事法制や新婦人交流会や田回りの日程を話し合い、「オーイ、そろそろ呑むべ」の掛け声で料理がどっと運び出されました。

 農民連に入ってやる気がわいた

 翌朝、安部さんと中井さんに案内されて、田んぼの畦マルチを張る作業中の只野(ただの)泰隆さん(60)文江さん(57)夫婦を訪ねました。二十ヘクタールの稲を耕作する只野さんは「農民連の人は元気がよくて、オレもやる気がわいてきた。技術や経験を交換したり、安心して付き合える仲間だ。仲間がいるのはやっぱり励みになる。とくに新婦人との交流会はいい刺激だなあ」と言います。

 「ところで」と安部さん、「苗作りはどうやってる?」とさっそく米作りの相談を始めました。それを見ながら「畦が一番の技術交換の場所。でも腹割って交流できるのは農民連ならでは」と中井さんは言います。

 畑が交流会になるのは阿部光男さん(69)、トク子さん(67)宅でも同じ。美しいネギ畑を見ながら「やっぱり基本は土だな」「んだ。土がよければ丈夫で農薬なんていらね」「この土は何入れた?」と会話が弾みます。「農民連に入ってよかった。本当においしい米ができるようになった」と明るく話したトク子さんの言葉がとても印象的でした。

(新聞「農民」2002.6.3付)
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2002年6月

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