「農民」記事データベース20020610-542-07

殺すより、増やさない

害虫防除 (6)


虫の基礎知識 防除法――天敵利用

 前回に続き、今回は、生物的防除方法(天敵利用)についてです。昆虫の天敵には捕食性昆虫類、寄生虫、病原菌(カビやウイルス)があります。これらの天敵は、害虫が増えてから働きます。その間に起こる農作物の生育の見劣りや収穫物のキズの発生に対して、生産者のがまんや消費者の理解が必要です。

 身近な天敵には、表のドロバチ類やアシナガバチ、徘徊性のクモ(クモの巣をはらない種類)などがあります。

 
天敵の見つけ方
天敵と害虫 天敵の特徴

オオフタオビドロバチ
↓(食う)
チョウ、ガの幼虫

いじめなければ人を刺さない。親指ぐらいの太さの竹を30センチに切り、それを束ねて畑周辺の小屋のひさしの下に下げておくと、ハチがアオムシを抱えて飛来し、竹筒につめる。
セグロアシナガバチ
↓(食う)
小昆虫類全般
アオムシなどを、かんで肉団子にする。
トウモロコシの花によく飛来する。
上と同様、人を刺さない。

はいかい性クモ
↓(食う)
小昆虫類全般

巣をはらず、歩き回ってエサをとるクモ。
コナガ、ヨトウムシの幼虫など多種類の昆虫を守る。
午前8時頃までに、茶畑などで、30センチ四方の範囲を30分くらい見つめていれば、ハエトリグモなどが歩いてくる。

注意(1)農薬を使用してない田畑で観察する。晴、うすぐもりで風の無い日がよい。
  (2)観察者は、その影がじゃまにならないところで、じっとしていること。
  (3)たばこ、アルコール臭、厚化粧は、さける。

 これからの季節は天敵が活躍するので、表を参考にして天敵の動きをよく観察して下さい。

桑山洋三(農の会会員)

(新聞「農民」2002.6.10付)
ライン

2002年6月

HOME WTO トピックス&特集 産直・畜産・加工品 農業技術研究
リンク BBS 農民連紹介 新聞「農民」 農とパソコン

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒171-0022
東京都豊島区南池袋2-23-2
池袋パークサイドビル4階
TEL (03)3590-6759

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2002, 農民運動全国連合会