「農民」記事データベース20020617-543-02

運動と野党結束の成果

BSE対策法が成立

関連/たたかいこれから――与党が明文化拒む


 牛海綿状脳症(BSE)対策特別措置法が、六月七日の参院本会議で可決、成立しました。与野党が協議のすえに一致して提案したもの。二月二十二日にいち早く法案を提出した野党四党の共同行動と、百万筆を超える署名、農民連の損害請求運動など草の根の運動が、新法に消極的な政府・与党を動かしました。

 同法は、BSE発生時の対応を明示する「基本計画」の策定と、二十四カ月齢以上の死亡牛のBSE検査など発生防止対策が柱。牛肉骨粉の輸入・製造・使用の禁止、と畜場でのBSE全頭検査、牛の履歴の記録・管理なども盛り込みました。また、農家、関連業者に対しては、「経営の安定を図るために必要な措置を講ずる」としています。

 野党四党は六月四日、国会内で「『BSE新法』成立に関する報告集会」を開催。国会議員や、制定に向けて運動してきた農民、業者、消費者ら約三百人が参加。羽田孜・民主党特別代表、藤井裕久・自由党幹事長、市田忠義・日本共産党書記局長、福島瑞穂・社民党幹事長の各氏があいさつし、佐々木健三・農民連会長も発言しました。


損害補償

たたかいこれから――与党が明文化拒む

 「BSEによる損害を与えた責任は、国家賠償法にあたるのではないか」――日本共産党の中林よし子衆院議員は、五月二十一日の農水委員会で政府の責任を厳しく追及。多大な被害を被った農家、関連業者への補償を求めました。

 BSE措置法をめぐる与野党の協議で、与党が最後まで拒んだのは「損害の補償」です。野党四党が先に提出した法案は「必要な助成を行う」と明記していましたが、新法は「措置を講ずる」という文言にトーンダウン。

 しかし政府の試算によっても、昨年九月から今年三月まで、肉牛価格の暴落による農家の収入の減少は千六百八十一億円。補てん金を差し引いても三百八十八億円の損失。肉販売業者の売り上げの落ち込みは、千九百六十六億円。焼肉業界の影響額は、七百六十〜九百三十億円と推計しています。

 「実際に被害を受けた人が損しっ放しでいいわけがない」と中林議員。さらに、BSE調査検討委員会が「行政判断の誤り」と指摘した、九六年四月の肉骨粉の使用禁止を行政指導にとどめた問題を追及。しかし武部農相は「違法性はない」と開き直りました。

 報告集会で、日本共産党の市田書記長は「損害補償をどうかちとっていくかは、これからの課題」と強調。佐々木会長は「新法の『必要な措置』の内容に補償の問題を入れてほしい」と要望し、「たたかいはこれから」と決意を述べました。

(新聞「農民」2002.6.17付)
ライン

2002年6月

HOME WTO トピックス&特集 産直・畜産・加工品 農業技術研究
リンク BBS 農民連紹介 新聞「農民」 農とパソコン

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒171-0022
東京都豊島区南池袋2-23-2
池袋パークサイドビル4階
TEL (03)3590-6759

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2002, 農民運動全国連合会