「農民」記事データベース20020617-543-07

殺すより、増やさない

害虫防除 (7)


野菜の共通害虫 アブラムシとウイルス病

 1 特徴と見わけかた

 アブラムシには、羽のない無翅(ムシ)型と、羽のある有翅(ユウシ)型(図〈図はありません〉)があります。過密状態になると有翅型が現れ、別の植物を求めて飛び立ちます。

 アブラムシは繁殖力が旺盛で、高温・乾燥になると急激に増えます。

 アブラムシによって次の症状が出ます。

 (1)農作物に口針(コウシン=注射針のような口)を刺して汁液を吸うので、葉がちぢれて衰弱し、減収になる。また、アブラムシは甘露を排泄するが、これにすす病が寄生すると黒く汚れる。

 (2)ウイルス病を媒介する。この病気は、葉が糸のようになってちぢれたり、モザイク模様が現れる。ウイルス病は不治の病であり、収量は激減する。発病株は、次の伝染源になるので、抜き取り、焼くなどして早めに処分する。

 2 防ぎ方

 (1)苗床やうねをカンレイシャなどで覆う。ハウスの入り口や換気窓にも張る。

 (2)アブラムシは白色や光を嫌うので、シルバーテープをつるす。竹の先などに、長さ五〇センチに切ったシルバーテープを、高さ二メートルとなるように結びつける。これを、畑に二メートルの条間隔で一メートルおきに立てる。間隔は、うね巾によって調整してよい。なお、有翅型アブラムシは、鮮やかな濃黄色をめがけてくるので、周囲に黄色の花や物を置かないこと(キュウリなどの花を目標に集るという習性)。

 (3)畑の周囲にムギやソルゴーを植える。混作する。そこにウイルスを持ったアブラムシが止まり、口針を刺すとウイルスが麦に移り、野菜への感染力を失う。また、野菜に着地する前三十分間道草をすると感染力が失われる。

 さて、重要害虫であるモモアカアブラムシが媒介するウイルスは、アブラムシが野菜に数十秒間口針を刺すだけで接種されます。また、農薬散布によってアブラムシが吸液できないのは、散布後二日間ですから、農薬によるウイルス病予防は無理と思われます。

桑山洋三(農の会会員)

(新聞「農民」2002.6.17付)
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2002年6月

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