「農民」記事データベース20020624-544-03

生産調整研の現地検討会

“外米の輸入やめよ”

出席者から批判意見続出

関連/農家が意欲をもって生産に励める議論を


 六月末の「中間とりまとめ」に向けて、小泉流「米改革」の検討を急ぐ食糧庁の生産調整研究会。しかし各地で開かれている現地検討会では「米の輸入はやめるべき」との批判が続出。座長の生源寺真一・東大教授は、その火消しに躍起になっています。

 五月十八日に大阪で開かれた現地検討会では、消費者の代表が「MA米の影響がないとは到底思えない。輸入をやめることを前提にした議論も必要」と意見を表明。これに「私もMA問題が決着したとは思っていない」と賛同した研究会メンバーの中野吉實・JA佐賀県中央会副会長に対して生源寺座長は、「後で私の方からみっちり説明しておく必要がある」などと脅しあげました。

 生源寺氏がいうのは、四月八日の第三回生産調整研究会で提出した「ミニマム・アクセス米の影響評価」と題する文書。「(米価や減反への)ミニマム・アクセス米の影響は見出せない」ということで「決着済み」だというのです。

 しかし、MA米が、国産米の需要を圧迫して米価を暴落させ、減反拡大につながっているのはまぎれもない事実。生源寺氏の態度は、この最大の弱点をつかれて、あせっている証拠です。

 二十六日の東京の現地検討会では、傍聴席から質問した横山昭三さん(農民連・米対策部事務局長)に対して、「影響がないというのではない。言われているような影響ではないということ」などと苦しまぎれに述べる場面も。

 愛知(六月一日)、北海道(八日)、広島(十五日)の現地検討会でも「外米輸入はやめろ」の声が相次ぎました。この声をさらに大きくして、生産調整研究会の危険なねらいを押し返しましょう。(食糧庁はインターネットで意見を募集し、公表しています。ホームページ:http://www.syokuryo.maff.go.jp/notice/data/seisan1.htm Eメール:keikaku_syokuryo@syokuryo.maff.go.jp)


農家が意欲をもって生産に励める議論を

農民連米対策部 横山昭三さんの発言(要旨)

 生産調整研究会は「輸入米が国内の生産や価格に影響はない。あっても心理的な影響だ」との認識で一致したかのように報道されているが、WTO協定の改定交渉が本格化するときにこのような結論を出すべきでない。「影響がないのなら、もっと輸入してもいい」ということになりはしないか。「政府は輸入米を減らす気がない」と言っているようなものではないか。

 輸入米の問題は一部の委員の間で結論を出さないで、国民的な論議をすべきだ。年間七十七万トンのMA米、米粉や調整品も合わせれば九十万トンの米が輸入されている。新潟県の生産量の一・五倍の量が輸入されて、影響がないとは常識では考えられない。主食用のSBS米の入札価格は、国産の下物の相場と連動し、国産米の価格を押し下げているのは明白だ。

 国民にとって我慢できないのは、コンビニのおにぎりで、レストランの食事で、あるいは激安米で、知らぬ間に輸入米を食わされていること。消費者は安さよりも安全性の方がもっと大事だと思っている。レストランのライスでも輸入米を使ったら、そう表示するなど、きっちりやるべき。そうすれば、消費者の選択によって業務用や加工用でも国産米の需要が増える。

 今日の議論でも、日本の農業、食糧を大事にしようという意見が大勢なのだから、まずは輸入米は入れないという国民的な合意を作るべき。米や農業を守るために予算を使うのであれば、社会的な負担として国民も納得する。いかに生産者に作らせないかではなく、どうやって意欲を持って生産に励んでもらうかという立場で研究会をやってもらいたい。

(新聞「農民」2002.6.24付)
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2002年6月

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