「農民」記事データベース20020624-544-05

運動の成果に確信もち、さらに全力

BSE対策法の成立で農民連・畜全協が声明


  七日、「牛海綿状脳症(BSE)対策特別措置法」が、参議院本会議で全会派の賛成により可決され、成立しました。これは、野党四党の結束を力に、多くの農民、消費者、牛肉関係流通業界など、広範な方々の運動が政府・与党を揺り動かして勝ち取った、文字通り運動の成果です。

 私たちは昨年九月、国民に衝撃を与え、畜産の存続が危ぶまれるほど深刻な影響をもたらしたBSEが発生して以来、政府の責任追及、原因の究明や食肉の安全対策、畜産農民や牛肉関係業者の救済などに全力をあげてきました。また、私たちが全国に呼びかけて行った「損害請求運動」に、二千数百戸の畜産農家から六十七億円余の請求書が寄せられ、第四次にわたる提出行動などのたたかいが、政府を追い詰める大きな役割を果たしたと確信します。

  今回、弱点をもちながらもBSE対策が法律として制定されたことは、日本からBSEを一掃し、国民に安全な食肉の供給を実現するうえで大きな前進です。

 同時に、「特別措置法」が制定されたとはいえ、これでBSE問題が解決したとは到底いえません。政府の「BSE調査検討会報告」が指摘しているように、BSEは政府の失政によってもたらされました。BSE発生後の政府の対応が国民の信頼を著しく失墜させ、事態の混乱と被害を助長しました。にもかかわらず武部農水大臣はいまだに大臣の座に居座り続け、一定の対策が行われたとはいえ、甚大な損害を被った農民や牛肉関係業者への損害補償は行われていません。

 牛肉の消費や暴落した牛肉価格に一定程度の回復がみられるのは喜ばしいことですが、価格でいえば、回復したのは一部であり、牛肉価格全体でみればいまだに暴落したままであり、肉牛生産農家の経営を圧迫し続けています。また、酪農家はいまだに廃用牛の処理に苦慮し、政府の対策が不十分なためにBSE発生の不安におののく毎日です。肝心要の感染原因やルートもいまだ未解明のままです。

  与党の妨害によって、野党案に盛り込まれていた生産者等に「BSE発生前の基準で助成する」という規定が、「特別措置法」から削除されたことは大変残念でした。しかし、新たにBSEが発生した際に「基本計画」を定めることや、BSEの発生によって経営が不安定になっている生産者などに、経営を安定させるための「必要な措置を講ずる」ことを政府に課しています。

 BSE感染牛が確認されている今、政府は「基本計画」を策定する義務があり、「計画」のなかに畜産農民が安心して経営を続けることができるようにするために損害の全面的な補償を盛り込むべきです。

 私たちは、「特別措置法」を真に国民や生産者に役立つものにするとともに、損害補償をはじめとした今後のたたかいに全力をあげるものです。また、国民が安心して食べることのできる農畜産物を生産するために力を尽くす決意です。

 二〇〇二年六月八日

 農民運動全国連合会
     会長 佐々木健三
 畜産農民全国協議会
     会長 住谷 輝彦

(新聞「農民」2002.6.24付)
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2002年6月

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