「農民」記事データベース20020624-544-08

殺すより、増やさない

害虫防除 (8)


野菜の共通害虫 土壌線虫と連作障害

 1 特徴と見わけかた

 連作障害の主な原因に土壌線虫があります。重要害虫は、ネコブセンチュウとネグサレセンチュウです(図〈図はありません〉)。

 (1)ネコブセンチュウ

 野菜の根に、直径数ミリから一センチのコブを作り、根の働きを弱めます。施設キュウリでは激しく侵されるとしおれます。土壌条件や施肥が適当でも葉が黄ばみ、株の形がいじけた時は、線虫を疑って下さい。

 (2)ネグサレセンチュウ

 根が壊死し、太くなりません。線虫が根に侵入する時に土壌病原菌を持ち込み、根腐れ病の原因となります。生育初期の根菜類では枯死します。なお、これらの線虫を顕微鏡で見て区別するには、土壌から抽出する器具が必要です。実際には、農業改良普及センターに相談するのがよいでしょう。

 2 線虫のネズミとネコ

 線虫には三タイプがあります。(1)植物寄生型は農作物の害虫です。(2)捕食型は植物寄生型線虫を食べる天敵です。(3)自活型はこれらに属さない線虫であり、農作物に対して無害です。連作によって植物寄生型が増えると、各型のバランスがくずれて、被害が出ます。

 3 防ぎ方

 (1)線虫が嫌う農作物を輪作に加える。ラッカセイ、サトイモを作付けると植物寄生型線虫が減ります。マリーゴールドを植えてすき込むと効果が高い。ただし、三ヶ月間の栽培が必要です。

 (2)太陽熱利用土壌消毒法。夏の日照量の多い時期に、ハウス内の土に十アール当り六十キロの石灰チッソを混ぜ、浅くうねを立てる。ビニールで全面マルチした後、水を注いで湛水状態にし、一〓月間土を高温で蒸します。

 (3)牧草の青刈りすき込み。ソルゴー、エンバクなどを作付け、出穂期に土にすき込む。二回目の耕うん時に(2)と同量の石灰チッソを施用し、数回耕うんします。病害虫の予防と地力増強を兼ねています。

 (4)完熟堆肥を施用して、各生活型のバランスを保ちます。

 (5)土壌処理剤の利用。前作物の取り残しや根を十分に分解させた後、砕土してから行う高温期をさけ、地温は十五℃以上、適度な湿り気が必要です。

桑山洋三(農の会会員)

(新聞「農民」2002.6.24付)
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2002年6月

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