「農民」記事データベース20020624-544-11

和歌に詠む「昔に戻すな…」

引き揚げ者名簿の放送傾聴を命じた亡き母への思いをこめて

茨城県北農民センター 大野憲治さん

 茨城・県北農民センターの大野憲治さんから届いた、反戦への思いを詠んだ和歌を紹介します。


 百人一首の一枚札の憶え方に『むすめふさほせ』というものがあります。有事法制で一段ときな臭くなったこの頃、『むかしにもどすな』と反戦一枚札を作ってみました。(下記)

 亡母の思いを中心に創りましたが、そのままでは生々しいので孫としての気持ちを借りて詠むことにしました。

 父は千島沖にて撃沈されたと聞いております。白木の箱には数片の遺骨と認識票が入っていたそうですが、母は「誰の骨か判ったものじゃない」と、一九四八年までラジオの尋ね人や引き揚げ者名の放送を傾聴するよう私に命じました。

無理矢理に引き裂かれにし我が祖母の
   恋を想いて平和を噛み締む
哀しみを語る閑なく逝きし祖母
   孫に向かひて微笑み残し
静かなる決意秘めたるその唇は
   真一文字に深き皺そえ
にこやかに微笑む遺影見上げつつ
   北の荒海冷たきを連想う
もう一度生まれ変われば初めより
   戦させぬと祖母は語りき
どのくらい人を殺せば済むのかと
   テレビ見詰めて祖母は怒りぬ
健やかに育ちし孫ら眺めつつ
   今亡き夫にも見せたく思う
何も無き白木の箱を渡されし
   若妻は愛夫の生還を信じぬ

(新聞「農民」2002.6.24付)
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2002年6月

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