「農民」記事データベース20040705-642-09

シリーズ地域農業振興へ 生きいき農業高校

1人ひとりが研究テーマ立て実践体験学習から農業のすごさを学ぶ

都市部で有数の農場をもつ千葉県立流山高校

 千葉県は、全国に誇る園芸県で、ネギや大根、カブ、枝豆、サトイモなどが全国一の産出額になっています。県立流山高校は、県西部の東葛地域にあり、東京近郊の静かな住宅地のなかで、地域から親しまれる学校として今年で創立三十五年目を迎えます。


 流山高校は、農業科と商業科の併設校で、農業科には、園芸科と生活科学科があり、各学年四十人の生徒が、二ヘクタールという都市部では有数の農場を実習の場にして、野菜や果樹、花などを栽培しています。農業検定や簿記検定などの資格取得に熱心で、検定前には、遅くまで補習にはげむ姿がみられるそうです。

 この高校の特色の一つに、自ら計画を立て実践することを基本にした「プロジェクト学習」があります。三年生は、これを「課題研究」と名づけて、一人ひとりが研究テーマを立てて、一年間責任を持って取り組みます。そのテーマをみると、野菜コースでは、「メロン品種の違いによるネットの張り方・収穫後の糖度の調査」や「トマトの有機栽培に関する研究」、「キュウリの肥料による生育数量比較調査」など。草花コースでは、「ゴムの木の取り木位置の違いによる生育調査」、「ガーベラの施肥量による発育の違い」など。食品加工コースでは、「大豆の栽培と豆腐・おからの加工の研究」など、たいへんバラエティーに富んだ内容になっています。どれも、写真付きでレポート用紙百枚にもおよぶ大作です。生徒たちは、休日にも登校して栽培・観察を続け、学年末近くになると図書室にこもって、いわば「卒論」を完成させるそうです。

 こうした体験学習を通じて、生徒たちは、「農業ってすごいな」「誠意をもってとりくんでよかったな」と思い、同時に「私だけが育てたのではなく、土や空気、水も育ててくれたんだな」という感謝の気持ちを抱くのだそうです。そして、「農業は誠意の実る職業」だから、将来「農業をやってみたい」と。

 この高校で十三年目の勤務となる園芸科の西川裕人先生は、「実習教育を通じて、労働の大切さを教えるだけでは生徒の目は輝かない。自分たちが栽培している作物は、安全でおいしい自信作、それは地域で評価される内容なんだということを肌で感じる体験教育こそ、農業高校の本来の姿」と、力説します。

 校舎内や農場を歩いていると、生徒たちが明るい声で「こんにちは!」とあいさつしてくれます。校門正面には、メタセコイアの巨木が円錐のかたちで凛(りん)と立ち、そんなすがすがしくて元気な生徒たちの活動を見守っているようです。

(新聞「農民」2004.7.5付)
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2004年7月

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