「農民」記事データベース20040726-645-14

この人

4月から食品分析センターで重金属分析を担当する小野塚春吉さん(60)

有害物分析では筋金入り


 今年四月から農民連食品分析センターで重金属分析を担当。東京都の研究所で三十年来、有害化学物質を分析してきた筋金入りの研究者です。

 九九年に、都が七三年から続けてきた都内搬入米のカドミ検査のデータを整理して公表。「カドミウムが徐々に土壌に蓄積し、汚染が進行している」可能性を示唆しました。

 都の安全基準(〇・四ppm)を超えた検体の割合は、カドミ対策がとられた七〇〜八〇年代に減少しましたが九〇年代に微増。「ゴミ処理場からもカドミが排出され周辺土壌を汚染します。長期のデータは他になく、都の地道な検査で初めて分かりました」

 謙虚で誠実な語り口。でも食の安全を守る目は厳しい。食品に含まれるカドミの最大基準値を審議しているコーデックス委員会に日本政府は、決まりかけた案を緩める修正案を提出しました。「その理由を政府は、日本は火山国でもともと土壌のカドミが高いと説明しますが、日本が外国と比べて特別高いという科学的なデータはありません。政府はわかっていて、国際機関に誤った説明をしているのだと思います」

 二十年前に、当時の公害研究所から衛生研究所に移りました。きっかけは、公害研の名称変更問題です。「私と同僚は“公害行政の後退に拍車をかける”とこれに反対し、研究職から行政職に強制配転させられました。その後、たくさんの方々の支援で研究職に戻ることができたのです」。当時、支援の輪は大学の学長クラスや文化人にも広がり“日本の良心の結集”とまでいわれました。

 研究対象は、大気汚染から食品汚染へと変わりましたが、国民の健康を守る立場は一貫しています。「生産者が自ら、重金属も含めて安全をチェックする分析センターは一歩先んじている」。思う存分、力を発揮してくれるに違いありません。

(新聞「農民」2004.7.26付)
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2004年7月

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