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近畿ワイド特集(1)

大 阪


「大阪農民会館だより」のレポートから

地域住民と手を携える都市農業

 農民組合大阪府連が設立した大阪農業振興協会(財)は「大阪農民会館だより」を月一回の発行し、この十一月で七十五号を迎えました。農家と消費者との共同の取り組みが今日求められているとき、このなかには、興味深いレポートがあります。その後の発展を含め紹介しましょう。

団地居住者とミカン契約栽培

泉北ニュータウン
 「住民運動が守った地域農業」として紹介した堺市美木多のミカン契約栽培(97年11月25日付・53号)はその一つ。美木多は泉北ニュータウンという大規模団地に囲まれた旧村で、オレンジの輸入自由化などで苦しむ農家と地域の開発問題で結成された住民組織が話し合うなかで、一九八九年から契約栽培を開始。栽培管理は農家が行い、収穫は消費者がやります。

 農家二戸、六百本から始まった取り組みは、いまや市内の全ミカン農家八戸、二千九百本に増え、消費者も地域の千八百世帯のうち千五百〜千六百世帯が参加するまでになっています。

 さらに市民農園、朝市へと広がり、年末にはお年寄りが作ったしめ縄が飛ぶように売れています。

市民生協26店舗などへ出荷

堺グリーンクラブ
 次は堺市の泉北野菜生産組合(通称・堺グリーンクラブ)の活動(98年11月25日付・64号)。七七年十二月、大阪いずみ市民生協の店舗一号店の開店から始まり、生協の成長とともに出荷量と品目も増え、今や三十品目以上、年間出荷量も五百トンになっています。

 堺グリーンクラブへの参加者は、ほとんどが農業後継者。六人から始まり、今は倍以上の十四人です。出荷先も次第に増え、生協の二十六店舗と共同購入、農民組合の大阪産直センターへも出荷しています。同クラブは農民組合にも加入。十月に農事組合法人に衣替えし、態勢を整えました。

共同して国産大豆づくりへ

かわちながの消費者協
 最近発行された75号は「遺伝子組み換えより安全な国産の大豆を」と、河内長野市の農家婦人組織の同市生活改善クラブ連絡協議会と「かわちながの消費者協会」の大豆作りを紹介。

 両者の交流は、五年ほど前から始まり、それが遺伝し組み換え食品の学習に取り組むなかで、今年二月から大豆作りが話し合われるようになり、畑の借り賃、種代、肥料代とも折半し、七〜八人で作業する形で進みました。出来上がった大豆は、農協が買い、味カイにすることになっています。

(大阪府連 山口和男)


米穀商組合から「地元米を」

府連に注文、50俵とどける

 大阪・箕面市の米穀商組合代表の山崎末男氏から「地元産の米がほしい」と十月二十六日に電話がありました。「年三回から四回、”箕面米まつり”と銘打って米の売り出しをやっており、その時に地元産の米を扱いたい」というのです。

 箕面米穀商は、三十二軒の米の小売店組合です。

 大阪府連の原常任執行委員と産直センターの佐藤所長が、さっそく能勢町産の産直米「キヌヒカリ」を試食用として届け、懇談。

 山崎氏からは「仲間で試食したがおいしい。ぜひ地元のこだわりの米として扱ってみたい」と連絡があり、十二月の米まつりに五十俵届けることになりました。

(大阪府連 原 弘行)


高圧線の契約外使用は違反で

茨木線下協が関電追及

 大阪・茨木市の高圧送電線下補償協議会は、関西電力と補償料改定の交渉をしていますが、補償対象の送電線路に光ファイバーケーブルを架設していることは「契約違反だ」と追及しています。

 関電は、一九六〇年に送電線路を合法的に設けるため線下の農地に「地役権」を設定しました。農家と結んだ契約書には、「地役権」の利用目的について「この土地に特別高圧送電線路(電線の支持物を除く)を設置することができる」と明記されています。同協議会の追及に対して関電は「送電線の保守管理用で送電目的だ」と釈明しましたが、「文書で回答を」との要求は拒否しています。

 契約目的外に地役権を使用すれば「契約違反」です。

(大阪府連 田中 豊)

(新聞「農民」1999.12.6付)
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