農民への人権侵害許さない「小農民の権利宣言」成立求め
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政府代表含め熱心に討論
50カ国から400人が集う
小農民へのあらゆる人権侵害を許すな――。国連人権理事会で審議中の「小農民と農村で働く人々の権利宣言」の早期成立を求め、かつてドイツ農民戦争(1524―25年)の激戦地となったドイツ南部シュヴェービッシュハルに世界約50カ国から小規模家族農民とその運動を支援するNGOの代表約400人が集いました。農民連からは岡崎衆史国際部副部長が参加しました。3月10日まで3日間にわたって開かれた「世界小農民の権利国際会議」は、ビア・カンペシーナ(国際農民組織、農民連も加盟)のヨーロッパ組織やドイツの加盟組織などが共催。国連食糧農業機関(FAO)のグラジアノ・ダ・シルバ事務局長のビデオメッセージが紹介されたほか、ドイツ、ポルトガル、スイス、ボリビア、タンザニアの政府代表も出席しました。
FAOも明言「強く支持する」
ダ・シルバ事務局長は、小農民の権利宣言を「強く支持する」と明言し、「適切な政策と枠組みの作成と実施のためビア・カンペシーナや市民社会組織と手を携えていく」と約束しました。ビア・カンペシーナのエリザベス・ムポフ国際調整委員会責任者(ジンバブエ)は、多国籍企業の利益追求の犠牲となり、多くの国で小農民と農村生活者が土地から追われ、貧困、失業、飢餓、栄養不足に置かれていると告発。さらに、抵抗すれば逮捕、虐殺さえされているとし、権利宣言の成立は「喫緊の課題」だと訴えました。
会議は最終日に共同声明を出し、「権利宣言は運動とたたかいを結集させる力となり、さらに大きな制度的変革を約束する」と述べ、成立に向けさらに運動を強めていくことを確認しました。
世界小農民の権利国際会議で発言に熱心に聞き入る参加者(会議のウェブサイトから) |
5月会合に向け取り組みを強化
「権利宣言」成立に向けた取り組みはビア・カンペシーナが2000年から開始。これが各国政府の支持を集め、2013年からは国連人権理事会の作業部会で審議が行われてきました。最新の草案には、食糧主権や、農地や種子に対する農民の権利、適切な所得を受け取る権利が明記されています。
5月には宣言案を審議するため4回目の作業部会会合が開催されるため、ビア・カンペシーナは宣言成立に向けた取り組みを強化。今回の国際会議をその要と位置付けてきました。
国連作業部会で15年に行われた宣言成立に向けた審議の継続を求める決議に対しては、賛成31に対して、反対は米国のみ。アジアでは大半が賛成していますが、日本と韓国が棄権に回りました。
農民連
世界に逆行する安倍政権を糾弾
農民連は、国際会議で、日本政府の態度を糾弾。また、安倍政権が権利宣言に逆行し、家族農民を守る政策を解体し、農地法、農業協同組合法を改悪し、主要農作物種子法を廃止しようとしていると告発しました。
(新聞「農民」2017.4.3付)