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農民連第23回定期大会の発言から
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2つの「投票行動」で
農政と経済が変えられる

千葉・多古町旬の味産直センター
小林由紀夫さん

 私は、新日本婦人の会神奈川県本部のみなさんとの間で進めている「産直運動カフェ」について発言します。

 産直運動カフェ
 支える力は学習

 産直運動をどのくらいの人が参加しているのかを調べてみました。一番多い地域では、およそ半分の会員さんが参加していました。それを支えているのが草の根の「産直運動カフェ」の学習運動だと思います。

 東京大学大学院の鈴木宣弘教授が言うように、スイスでは、決して安くはない1個80円の卵が適正な価格で売れる理由は、農協と生活協同組合の学習運動が、そうした消費者をつくり上げているからです。

 いろいろな集まりに行くと、会員さんの多くは、「産直運動の政治的役割を知りたい」と思っています。日米FTA(自由貿易協定)やTPP(環太平洋連携協定)などについても、安倍首相の進める改革は、多国籍企業がどの国でも自由にもうけるしくみをつくることです。

 量販店で買い物
 農家手取り減る

 同時に、私たちは、安倍政治に怒りながらも、大手スーパー、アマゾンなど多国籍企業の安くて便利なものを買うように仕向けられてしまっています。

 大手スーパーなど小売業者の買いたたきにより、生産者の手取りは30年前は小売価格の27%だったのが今では13%と半分にまで落ち込んでいます。

 安くて便利な大企業の製品を買うことは、非正規労働者と生産者を買いたたく世の中をつくり出し、世界の1%だけが豊かになる社会を応援することになります。その一方で、世界の99%の生活が豊かにになるのが地産地消の産直です。

 今年は統一地方選挙、参議院選挙など選挙の年です。選挙で政治のしくみを変えるチャンスになります。同時に、「買い物による投票行動」で経済の流れを変える。この2つがあってこそ、世の中が変わってきます。

 100円のジャガイモを産直で買えば、農家を応援することになりますが、スーパーでポテトサラダを買えば、農家には、ほんの少ししか回らず、結果的にスーパーを応援することになります。

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新婦人支部の「おしゃべりランチ会」で講師を務める小林さん

 農家50軒に2軒
 後継者いるだけ

 多古町のある集落では、米農家50軒のうち、後継者がいるのは2軒だけという現実があります。安倍農政による、日本の米農家をつぶして、輸入米を売るという政策の現れだと思います。

 しかし、後継者がいる2軒の農家は、産直運動に取り組んでいる農家です。つまり、食べることで後継者を育てるのが産直の目的です。

 今年は、選挙による反安倍首相への投票で日本の農政を変えることと、買い物による反大企業への投票で日本の経済の流れを変える年だと呼びかけたいと思います。


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東京・荒川区 為我井雅子
 
埼玉・北本市 諸川トミ

(新聞「農民」2019.2.4付)
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