参院選の一大争点に大企業減税の穴うめに
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関連/大企業減税の穴うめに消費税10%発言 /増税の大連合にガツンと審判を /基地移転反対、輸入自由化阻止 沖縄農業の発展願う政党に /都市農業振興 政党の態度は… |
鳩山前首相は「4年間は(消費税を)上げない」と言ってきたのに、菅首相はなんの説明もないまま、大企業減税とセットで消費税10%を言い出しました。また民主党の内部資料では「消費税増税法案を2010年度にとりまとめる」と明記しています。参議院選挙の一大争点となっている消費税。税のあり方を決めるのは主権者である国民です。7月11日の投票日には、「消費税ノー、増税ノー」の意思をしっかり示しましょう。
菅首相が「国の財政がギリシャのようになったらたいへんだ。高齢化社会に向けて増税が必要」というのなら、なぜ大企業には9兆円も減税するのか。なぜ、税金を政党や国会議員に配る政党助成金(年間およそ320億円)を廃止しないのか。なぜ、5兆円の軍事費にメスを入れないのか。なぜ、所得の少ない人に重くのしかかる消費税の増税なのか。かつて消費税を導入しようとした時、当時の中曽根康弘首相は「羊が鳴かないように毛をむしるのが税の極意だ」と言いましたが、いま、この言葉を思い出します。
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消費税10%は、高齢化社会のためでも福祉のためでもありません。増税分は大企業の減税分に回されます。1989年4月の導入から、これまで国民が納めた消費税額は約224兆円。一方、法人税等の引き下げによる大企業の減税額は、累計で約208兆円。消費税の税収は、大企業に減税した分の穴埋めに使われてきました。 |
農水省がまとめた2008年の稲作農家の年間所得は、たった39万円でした。農家数の1割にも満たない5ヘクタール以上の農家でさえ、年間の所得は300万円を超える程度。当時よりさらに米価下落が進み、エサ代や農薬・肥料などの経費が高騰しているなかで、農家の暮らしと営農は深刻です。いまでも「経営が赤字でも消費税だけはとられる」と悲鳴があがっているのに、さらに増税で倍額を納めることになれば、暮らしも営農もめちゃめちゃにこわされ、農業を続けることさえ危ぶまれる事態になります。
麻生内閣(自民・公明)のときに、「2011年度までに消費税増税法案を国会で通す」ことを法律(租税特措法付則104条)で決めました。政権が交代して、「4年間は上げない」という鳩山内閣にこの条項の廃止を求めてきましたが、実行されませんでした。菅首相の10%発言は、まさに「2011年度までに消費税増税法案を国会で通す」ことをめざすばかりか、その前倒しを表明したものです。
消費税増税の大連合にストップをかけるためにも、増税を推進する政党にガツンと審判を下しましょう。国会の力関係を変えれば大増税は阻止できます。
参院選はその絶好の機会到来です。
私たちは「抑止力」などという言葉にだまされません。軍隊が県民を守らないことは、悲惨な沖縄戦の経験が教えています。そもそも普天間基地は、上陸した米軍が豊かな農村を占領・破壊して建設したもので、戦火をくぐり抜けた農民は、戦後も土地を奪われて厳しい生活を強いられてきました。そして、あいつぐ事件・事故など、米軍基地はいまでも私たちの命と暮らしを脅かしつづけています。
「県外移設」を主張する候補者もいますが、これでは問題解決の展望が開けないことは、これまでの経過からすでに明らかです。基地受け入れと引き替えのあれこれの「振興策」が地域経済の発展に結びつかないことも、もう多くの県民は理解しています。米軍基地は「無条件返還」こそが解決の道なのです。この主張を掲げてがんばる政党と候補者を、精いっぱい応援したいと思います。
農民にとっては、菅政権が加速するFTA・EPA交渉の是非も重大な争点です。沖縄県の主要作物であるサトウキビは、07年の価格制度の変更で市場原理が導入された結果、政府の交付金を加えても採算が取れず、耕作放棄が進んでいます。この上いっそうの輸入自由化が進められれば、沖縄の農業は壊滅的な打撃を受けます。農民連が先駆的に取り組んできたパイナップルやマンゴーの産直も、重大な危機にさらされることが避けられません。
沖縄県民の願いを実現するためには、アメリカに対して堂々とものを言える政党と候補者の勝利が、どうしても必要です。
[2010年7月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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