「農民」記事データベース20130114-1053-09

農民連第20回定期大会決議(案)

持続可能な社会へ、
農業の復権と農村の再生を担える
農民連の建設を!!
(5/5)

2012年12月26日 農民運動全国連合会常任委員会

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IV 農村で多数をめざす組織づくり

 1、組織づくりの目標

 農民連に求められる組織づくりの目標は、「よくがんばっている農民連」から「力のある農民連」に本格的に飛躍することです。

 農民連結成以来、農民運動の全国センターを“近代的組織”として軌道に乗せるために、全国的な団結をよりどころに困難を乗り越えて今日に至っています。地方では県内農家の5%を超える県連組織や、単組ではさらに大きな比重を持った組織も生まれ、地域農業と農村を守る大きな役割を果たしています。中央では、TPP参加阻止や原発問題とのたたかいなどで大きな役割を果たし、社会的な存在感を増しています。

 仮に日本がTPPに参加するなら、農業と農村への打撃は計り知れないものがあります。一方、TPPや原発問題などにみられるように、国民の意識が変化し、共同したたたかいがうねりとなり、ゆがんだ政治や社会の根本的転換を要求した行動が広がっています。運動を土台に持続可能な社会へ、再生可能エネルギーを軸にした循環型社会の実現を多くの国民が求め、行動しています。こうした方向にこそ農業と農山漁村を再生・復権させる展望があります。

 いま、さらなる破壊と困難を押し付ける道を許すのか、国民多数の願いと結んだ希望ある方向かの激しい攻防が繰り広げられています。農民連を、さらに要求実現力のある強固な組織に発展させ、地域の住民や農村の広範な団体と力を合わせてこうした方向に大きく踏み出すためには、少数でがんばっている組織に甘んじていることはできません。

 前々大会以降、2002年の過去最高現勢の回復と、農家戸数2%、販売農家の3%の世帯会員をめざすことを決め、基準を超えている組織でのさらなる奮起を呼びかけました。新聞「農民」では3万部の峰の突破と、会員数の1・5倍を目標にしました。この目標は通過点にすぎません。1日も早く突破するとともに、現状に甘んじることなく、多数者になることを基準に、志高く当面の会員と読者拡大目標を決めるとともに、それに見合った体制を構築することを呼びかけます。

 2、到達点に即して、多数者をめざす戦略をもって

 2010年センサスをもとにした都道府県連組織の到達点は、農家戸数比で2%台が3組織、1%台が12組織、販売農家比では5%台が2組織、3%台が3組織、2%台が7組織となっています。農家数が252万8000戸と大きく減少しているなかで、会員拡大の努力で基本的に組織を維持しているとはいえ、全体的に後退傾向にあります。2012年はほぼ後退に歯止めがかかりつつあることは重要です。4ケタ前後の拠点組織の伸び悩みと後退傾向、4ケタをめざした数百人の組織の後退、結成して20年以上経過しているにもかかわらず3ケタ以下の組織の克服が急がれます。それぞれの到達点を踏まえて、惰性ではなく本格的に打開するための議論と段取り、そのための思い切った体制づくりを進めましょう。組織づくりの戦略の中に、役員や事務局の若返り、若手の登用を位置づけることも重要です。

  (1)空白地域の克服と全県を網羅する単組・支部づくり

 単組の守備範囲を明確にし、全県を網羅する組織体制を確立すること、役員と事務局体制を挑戦的立場で確立することが重要です。1700を超える全国の市町村のうち会員のいる自治体は約47%にとどまっています。空白自治体に組織を確立する計画を進めましょう。

  (2)「春の大運動」(1月〜3月)での会員拡大の飛躍を

(1)春の大運動は、1年間の拡大運動の成否を左右します。「税金のてびき」と「記帳簿」を活用した学習、宣伝、対話を大きく広げ、会員の力を引き出して会員拡大を前進させましょう。

(2)最も矛盾が激しい「後期高齢者医療制度」の対象者をはじめとする国保税の軽減は、すべの農家に共通する切実な要求です。準産直米や生産販売など、多様な要求を掘り起こす対話や、きめ細かな相談会を開いて拡大につなげましょう。

(3)集中的な取り組みを支える「臨時専従」など、特別の体制をとりましょう。

 3、学習し成長できる組織に

 組織づくりのもう一つの柱は、会員がいきいきと学び、要求運動に参加し、成長できる魅力ある組織になることです。こうした質的面での強化は、会員拡大を前進させ、若い担い手を成長させるためにも重要です。

 組織の屋台骨である専従者が、要求運動や農業・食糧を守る運動、組織拡大の先頭に立てるようにレベルアップをはかることが農民連運動を前進させるカギです。専従者は日常の活動に追われて、学習する機会が保障されていないケースがあります。専従者自身が知的要求を持って意欲的に学習する努力が必要ですが、組織的にも学習を保障することが求められます。

 月1回、都道府県連内で専従者が全員集まって学習することや、県連単独では困難な場合はブロックや近隣県連と合同で行うことを含めて具体化しましょう。

 4、地域で多様な学習運動を

 地域での恒常的な学習運動は重要な課題です。学者や専門家、諸団体の方々の協力も得ながら、諸団体とも協力して取り組みを強めましょう。

 5、新聞「農民」読者拡大と紙面の改善

  (1)読者拡大について

 新聞「農民」の存在なしに、この間の運動の前進はなしえませんでした。農民連が毎週、発信する新聞「農民」読者を飛躍的に前進させることは、運動と組織を前進させる大きな力です。会員が1部、2部と読者を増やしましょう。農協の役職員、農業委員などの農業関係者に購読を広げましょう。TPPなどの運動で結びついた方々に「運動を進める必読の新聞『農民』」として購読を呼びかけましょう。「全員購読が原則」の立場から未講読会員をなくすための具体的な手立てをとりましょう。

  (2)紙面の改善と、通信活動の抜本的強化

 編集部の取材努力による新聞「農民」ならではの農政や農業経営に役立つ情報、全国に広がる運動の紹介などとともに、現場でがんばる農民や現場の情報を紙面にどれだけ掲載させるかが紙面改善の最大の柱です。そのための通信活動を強め、地方組織や会員が紙面づくりに参加できるようにすることを重視します。

 6、財政について

 前回大会で、これまでの分担金制を改め、一人ひとりの会員が全国センターを支えることを財政面から明確にするという立場から会費制に改めました。会費制移行は、500人以上の会員組織の納入額が増えるという困難がありましたが、全国の奮闘ですべての都道府県連が完納しました。また、納入額が減った500人以下の組織の会員拡大での特別の奮闘と、長期滞納の解決を呼びかけてきました。

 こうした努力の中で、会員現勢の小さい組織のなかで増勢に転じる組織が生まれていることは重要です。長期滞納の克服についても、対象組織の役員との率直な意見交換を行い、県連の奮闘で長期滞納を克服した組織があることも重要な成果です。

 財政問題で、会費で組織運営をまかなうという原則が確立されていない組織が残されていることは前進の障害であり、解決が求められます。

 本部の財政運営は、収入の柱である新聞「農民」の減紙が止まらず、きびしい財政運営となり、2011年度は、「たたかいの中で財政を作る」ことを中心に据え、税金資材とTPPを特集した雑誌『農民』の大量普及、経費の節約に努めてきました。2012年度は新聞「農民」、雑誌『農民』、税金資材とも前年より減少する一方、研究交流集会の開催などもあり赤字決算になりました。

 財政の柱である会員と機関紙拡大、たたかいのなかで財政を確保する工夫、いっそうの節約につとめて赤字を解消し、安定した本部財政にするための努力を強めます。

 7、後継青年の運動と青年部について

 2011年の東日本大震災と原発事故によって、全国の多くの青年が大きな打撃を受けました。震災の直後には全国各地の青年部員が被災地に駆けつけ、支援物資や後片付け、避難先での炊き出しなどに奮闘し、被災地に笑顔と元気を届けました。“原発ゼロ”を求めて各地の集会やデモなどにも積極的に参加してきました。

 青年部員の中で生物多様性や原発のないオルタナティブな社会など、継続的な学習や青年が何をすべきかについて大いに議論を深めながら奮闘してきました。

 こうした努力のなかで、青年部総会や「夏の交流集会」など、最近の青年部の企画への参加者が増え、盛り上がりを見せています。2012年9月に山形県で開催された夏の交流集会は、ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域の青年集会もあわせて開催され、海外から青年代表を迎えての国際交流となりました。このように国内外での農村青年の直面する課題や状況を共有し、各地での取り組みや活動から新たな刺激を得て、日常の運動と国際的なビジョンをもった「Think globally Act locally」を実践できる青年の育成に励んでいます。

 各地では農民連青年部員が中心となり、学習交流会、マーケット、田植え交流会、生き物調査など多様な取り組みが展開されています。どの集まりでも地域の農業青年を軸とした新たな地域内のつながりと継続的な共同が生まれています。

 農民連の未来のためにも農業青年の確保は欠かせません。青年部の結成・活性化を青年まかせにせず、各都道府県と単組の役員会全体で責任持つことが必要です。耕種や地域的な条件の違いはあるにせよ、まずはできるだけ身近な範囲で集まることが大切です。

 青年部がTPP阻止や原発ゼロの先頭に立つとともに、つながりを強めながら運動を発展させましょう。

 8、女性の役割と女性部運動について

 女性部は、大震災や原発事故の救援活動、TPP交渉参加阻止のたたかい、地域での生産などの活動で大いに奮闘してきました。これまで農民連世帯会員6割を目標に女性会員の登録を進め、すべての都道府県と単組に女性部を確立することをめざしてきました。女性部が確立されているのは準備会を含めて28道府県にとどまっています。2014年の第25回女性部総会までの2年間に、すべての都道府県連に女性部を確立することを目標に取り組みを強めます。女性部が未確立な県連組織の格段の援助を訴えます。

 今後の運動で女性部が重視して進める課題として、直売所、産直、学校給食、加工や農家レストランなどの「ものづくり」で地域農業を守る運動、種子を守る運動、平和・基地問題、安保問題などの学習を強め、憲法9条を守る運動を広げます。また、原発ゼロをめざす運動と再生可能エネルギーの取り組みを広範な仲間とともに進めます。広範な女性団体と共同して女性の地位を向上させる運動を進めます。

むすび

 この数年来の政治と国民との矛盾の激化は、アメリカいいなり、大企業中心の政治を原因としており、この体制を改めなければ社会の持続性は保障されません。農民連は、広範な国民と連帯し、持続可能な社会をめざしてたたかいます。日本国内でも世界でも、ジグザグはあっても、こうした流れは確実に前進しています。グローバルな視野にたち、団結を固め、仲間を大きく増やして前進しましょう。

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(新聞「農民」2013.1.14付)
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2013年1月

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