「農民」記事データベース20050606-686-01

緊急フォーラム 日米の一流ゲスト報告者

BSE問題 大丈夫かな?

食の安全へ 活発な討論運動を交流

 全国食健連は五月二十一日、「大丈夫なの? BSE検査緩和・アメリカ産牛肉の輸入再開」と題してBSE問題緊急フォーラムを都内で開催。日米の一流のゲスト報告者を交えて活発に討論し、「力を合わせて、BSEの危険から食の安全と国民の健康を守ろう」と決意を固め合いました。

関連/BSE問題 大丈夫かな?
  /米国政策は危険を消費者に押しつける。全頭検査が最大の予防措置です
  /全頭検査を危険部位の除去との組み合わせがリスクを最低限にできる


 厚労省と農水省は二十四日、国民の願いに背いて、アメリカ産牛肉の輸入再開条件を食品安全委員会に諮問。同フォーラムは、その直前という緊迫した情勢のもとで開かれました。

 報告者の一人は、アメリカのロドニー・レオナルド氏。農務省の重要なポストを歴任し、今は国際的な消費者運動のリーダーです。もう一人は、東京大学名誉教授の山内一也氏。日本のBSE研究の第一人者で、食品安全委員会プリオン専門調査会の委員を務めています。

アメリカも日本を見習って全頭検査をやるべきです

ロドニー・レオナルド氏

 最善の解決策は

 「最善の解決策は、アメリカが日本を見習って全頭検査を行うこと」(レオナルド氏)、「世界に誇れる日本の対策が、貿易の妨げになるという理由で見直される事態は回避すべきだ」(山内氏)と発言すると、約百七十人の参加者から熱烈な拍手がわき起こりました。(報告要旨3面)

 レオナルド氏は、アメリカの食肉検査官の仕事は食肉を直接検査することではなく、食肉企業のチェックであることを指摘。そのうえで、BSE対策を含めた食品安全行政を「危険を消費者に押し付けるもの」と批判。さらに、大手企業の「もうけ主義」を告発し、「みなさんの運動が、アメリカの安全基準を厳しくすることにもつながる」と述べ、日本の運動に強い期待を表明しました。

 山内氏は、全頭検査、特定危険部位(SRM)の除去、肉骨粉の使用禁止、死亡牛検査、トレーサビリティーなど、日本が現在行っている対策の意味を詳しく解説。“SRMの除去だけで事足りる”といった誤った議論を厳しく批判し、「全頭検査とSRMの除去を両方やってこそ、危険を最小限にできる」と強調しました。

日本の対策を貿易の妨げから見直しするのはやめてほしい

山内一也氏

 小泉内閣へ怒り

 二人の報告を受けて会場からは、食の安全への強い願いとともに、各地でとりくまれている多彩な運動、そして圧力に屈して安全対策を改悪する小泉内閣への怒りが次々と語られました。

 何度も農水省に足を運び、畜産農民の声を届けてきた畜産農民全国協議会の森島倫生会長は、「アメリカ産牛肉の解禁に断固反対するとともに、安全な食肉を消費者に届けるためにがんばっていきたい」と決意を表明。

 新婦人京都府本部の井坂洋子さんは「“スーパー口コミ”でBSEの危険性を語り広げ、二週間で千筆を超える署名を集めました」と発言。

 長野県の臨床獣医師は日本でBSEが発生した直後の混乱を振り返り、「このままアメリカの牛肉が解禁されたら、全頭検査をはじめとする私たちのこれまでの努力は何だったのかということになる」と、政府を厳しく告発。日本消費者連盟の山浦康明副代表は「アメリカ産牛肉は、検査、SRM除去、飼料規制などあらゆる面から見て安全ではない。輸入解禁は認められない」と、きっぱり指摘しました。

 また、農水・厚労省が十三日から二十日にかけて各地で開いたリスクコミュニケーションには、農民連も多数参加。岡山県連の坪井貞夫書記長は「参加者の大部分はアメリカ産牛肉の輸入再開に反対だったが、政府はそれを無視する態度に終始した」と批判しました。

 参加者の発言を聞いたレオナルド氏は、「女性の奮闘に感銘を受けた」と印象を語り、山内氏は、今後の食品安全委員会の審議について「アメリカの飼料規制はかなりいい加減。そのことも十分踏まえて行っていく」と表明しました。

(新聞「農民」2005.6.6付)
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2005年6月

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