「農民」記事データベース20090323-869-07

大企業に農地を明け渡すな!(1/3)

財界の要求を背景に 農地法「改悪」案 国会に提出

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 政府は、今の国会に農地法「改悪」案を提出しました。この法案は、1952年の制定以来、維持してきた「耕作者主義」(自ら農作業に従事する者にのみ農地の権利取得を認めるということ)を投げ捨て、財界の要求にそって「所有から利用へ」農地制度を抜本的に変えようというものです。これは、農地制度の完全解体に向けた一里塚と言えます。


企業による農地支配への道

新潟県十日町市農業委員会・会長  阿部三代継さん

画像 農水省が国会に提出した農地法「改正」案には、多くの疑問と危機感を持っており、一言呈したい。

 現在の農地法の根幹である「耕作者主義」は、私どもの先人たちが血と涙のにじむ闘争の末、農地解放によって勝ち取ったものであり、農業者の営農と生活を守り、日本の高度成長に大きく貢献してきた厳然たる事実があります。

 この「耕作者主義」を紙くずのように捨て去り、「所有から利用へ」と転換し、一般企業の農業参入の促進を図ろうとする今回の「改正」には怒りさえ感じます。一般企業の農業参入は、まじめにがんばる集落営農や担い手農家と競合することは必定となり、資本力の相違から勝敗の結果は明らかで、百害あって一利もありません。

 今回の「改正」は「外壕(そとぼり)」であって、「本丸」は一般企業の農地取得と農業委員会の必置規制の撤廃と受け止め、憂慮するものです。国民の生命の源である食糧生産の基盤である農地を、財界の手に渡してはなりません。

 農民連のみなさんといっしょにがんばりたい。


農業委員会の努力、無にするもの

兵庫県丹波市農業委員  秋山佐登子さん(兵庫農民連)

画像 昨年7月、農業委員に選出されて早や8カ月。荒廃農地の調査が全国いっせいに行われ、ここ丹波市では農地総面 積6000ヘクタールのうち77ヘクタールが調査対象でした。わずか43アールの水田と13アールの畑しか耕作していない私にとって、考えられないような膨大な面 積でした。そして、ほぼどこを見ても山が真近にある地形の丹波盆地は、山と同化した非農地かと思われる農地が多く存在していました。これらの農地は、江戸、明治、大正、そして昭和30年代ころまで、少しでも農地を増やして豊かな収量 を確保したいと、額に汗して開墾した先人たちの血の結晶ともいえる農地です。

 なぜ、こんなに荒廃農地が増えてしまったのか、その原因は明らかです。減反の強要と輸入促進、農業で食べていけないような農作物の低価格が、後継者不足と高齢者頼りの農業へと変えてしまったのです。しかし、農民は農地を捨てることができません。たとえ自分の田んぼでなくても、草におおわれ雑木がはえてしまった農地を何とかしたいという思いで、せめて草刈りだけでも、せめて年に1〜2回の耕運だけでもと、農会(地域の農家の自治組織)をあげて取り組んでいます。米がダメなら麦やソバ、野菜をと試行錯誤しながら、その土地にあった作物を作ろうとしています。そして、そういう農家の思いを農業委員会も援助してきました。

 私たち農業委員は、産業廃棄物などの不法投棄や農地の転用に厳しく対処し、農家にはすすんで農地を生かそうと呼びかけ、行動をおこすことでまわりの農民を巻き込んでいけると確信し、農地の見回りと軽度の放棄地改善に取り組んでいます。国の政治はコロコロ変わり、農業より工業優先が見え見えです。

 家族経営の農業を重視して、“おおいに作って売って希望を広げよう”、そのために農地は手放さないでおおいに活用しましょう。全国の農業委員のみなさん、財界の攻撃なんかに負けないで連帯してがんばりましょう。

(新聞「農民」2009.3.23付)
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2009年3月

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