「農民」記事データベース20090323-869-09

大企業に農地を明け渡すな!(3/3)

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財界や学者(本間氏)らが「農地法」攻撃

100ヘクタールの農家を1万戸育成とは!?

 財界やそれに群がる学者は、声高に「日本農業の最大の障害は農地法」などと言って、執ように農地法攻撃を繰り返しています。

 法案には財界の「提言」の多くが

 経済財政諮問会議の民間議員(トヨタ自動車会長など財界代表と学者)は2月3日、「農政抜本改革に向けて」を公表していますが、そのなかで、「所有から利用へ転換し、利用については原則自由化する農地改革法案を早期に成立させ、できるだけ早く施行すべき」と提言。また、財界の総本山、日本経済団体連合会(経団連)の農政問題委員会は2月13日、「農地制度改革に関する見解」を発表しました。そのなかでは、農地法第1条に定める「自作農主義」規定を見直し、20年を超える長期貸借制度の創設や農業生産法人の要件緩和などを求めています。

 驚くべきことに、これらの提言の多くが、今回の農地法「改悪」法案に取り入れられています。

 もっと驚くのは、トヨタ自動車などの大企業が会員のシンクタンク「日本国際フォーラム」が1月に発表した「グローバル化の中での日本農業の総合戦力」です。

 小農家をつぶせと国にハッパかけ

 この提言では、緊急に取るべき対策として「農地を専業的農業経営者に集積するために、小規模農家の撤退を促し、離農する農家には農地の権利委譲などを条件に早期廃業の援助措置を導入」することを求めています。つまり、家族経営のような小さな農家は農業を早々にやめてもらう、そのために国は税金を使ってリストラを促せ、という血も涙もない提言です。

 また中長期的には「大規模な農家経営を育成するために、現在の約460万ヘクタールの農地の3分の1にあたる150万ヘクタールを食糧基地」にして、「100ヘクタール規模の農業経営を展開する経営体を1万程度育成」し、「食糧基地は経済特区とし、農地法など現在の農地規制の適用除外とする。農地の所有・利用ともに自由な権利移動を可能にする」というのです。100ヘクタール規模の農家を1万程度育成することができると、本当に思っているのでしょうか。この構想は、まったく現場を知らない、“絵に描いたモチ”以外のなにものでもありません。

 こんなバカげた提言をまとめたのは、あの本間正義氏(東京大学大学院教授)です。以前、経済財政諮問会議で「完全自由化すれば自給率は12%」という農水省の試算に「結構残るじゃないか」と言い放った人物。

 この提言どおりに進めば、残りの310万ヘクタールの農地は荒れ果て、農業の担い手も激減して、自給率12%が現実のものになりかねません。

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インタビューにこたえる本間氏。週刊ダイヤモンド(2/28付)から

 与党も民主党も改悪では同じ

 民主党は昨年12月24日に、農林水産政策大綱「農山漁村6次産業化ビジョン」を発表しました。そのなかで、農地制度については「できる限り参入規制(入口規制)を緩和」し、「農地以外の用途に転用することを厳格に規制(出口規制)」することを提案。この制度改革が可能になれば、現在の「耕作者主義」を維持する必要はなく、農外法人の参入は「有効利用の責務の遵守を条件として、その参入を認める」と提言しています。

 自民・公明の与党と野党の民主党は、農地法「改悪」では同じ方向を向いていることは明らかです。

(新聞「農民」2009.3.23付)
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2009年3月

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