新聞「農民」
「農民」記事データベース20190304-1350-09

混乱・欠陥だらけの消費税増税阻止!!
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元静岡大学教授税理士 湖東京至さん

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消費税は瀕死の税制、
消費税増税・複数税率導入は
阻止できる

 消費税は欠陥税制、間接税ではない

 ヨーロッパ諸国の標準税率をみると、一番高いハンガリーの27%から最も低いドイツの19%まで、各国でさまざまです。これには、欧州の学者などからは「軽減税率は国家間、企業間に不公平があり、軽減税率の利益を受けているのは適用を受ける企業だけで低所得者対策にはならない。軽減税率をなくせば標準税率を下げられる。中小事業者の負担は計り知れない」との批判があり、EU(欧州)委員会も「見直すべき」だと提言しています。

 ドイツのマクドナルドの例でみると、ドイツの軽減税率は7%で、標準税率は19%になっています。店内で食べれば19%で、お持ち帰りは7%です。しかし、いずれの場合も同じ価格(内税)で販売されているのが実態です。低所得者対策ではないなによりの証拠です。

 ドイツの学者は、業者(マクドナルド)が悪いのではなく、付加価値税そのものに欠陥があると述べています。付加価値税は間接税ではなく直接税的な性質をもっている証拠です。

 消費税がモノにかかる間接税のふりをして、価格への転嫁規定もなく、価格決定権は企業にあります。事業者が消費税を預かる義務はなく、消費者が預ける規定もありません。物価として負担することになっていると、裁判所の判決でも確定しています。免税事業者制度も簡易課税制度も直接税そのものであり、モノにかかる間接税ではない証拠です。国税通則法施行令46条に規定する間接国税にも含まれません。

 政府・税務署は「最終的に消費者が負担する間接税と同じ」と定義していますが、この宣伝に惑わされてはいけません。

 EU委員会、付加価値税の抜本的見直しに着手

 EU委員会は、軽減税率を見直すほか、付加価値税・消費税の輸出還付金制度による不正還付がEUではあまりに多く、輸出企業に還付金を渡さない仕組みを検討しています。

 輸出販売にゼロ税率を適用しないことを検討しています。輸出相手国の税率で課税し、自国の税務署に納めることになっており、税務署は相手国の税金を預かり、一定期間で相手国と精算します。自国からの輸出が多ければ相手国に支払い、自国の輸入が多ければ相手国からもらう仕組みです。

 EU委員会は付加価値税の抜本見直しを2022年から実施予定と発表しています。輸出還付金制度は付加価値税・消費税の根幹となる仕組みでこの仕組みの否定は、付加価値税・消費税の存在そのものに影響します。

 財界の抵抗は必至であり、輸出還付金制度がなくなれば日本経団連なども消費税に反対するでしょう。

 貿易戦争を招く付加価値税=消費税、アメリカの圧力

 アメリカには消費税のようなタイプの税金はありません。アメリカの輸出企業には輸出還付金はありません。アメリカの商品を輸出すると輸入国の付加価値税・消費税がかかり、アメリカが輸入すると相手国の企業は消費税の還付金がもらえることになります。アメリカの企業を守るには法人税減税と高い関税をかける以外にありません。これが貿易戦争を招き、鉄鋼製品、自動車に25%の関税がかけられているのです。

 アメリカファーストを唱えるトランプ大統領は、WTO(世界貿易機関)を批判し、TPP(環太平洋連携協定)を脱退しました。消費税の輸出還付金は、「輸出企業へのリベート」と批判しています。「NAFTA(北米自由貿易協定)傘下のメキシコ(標準税率16%)よ、カナダを見習え」と7%で導入したカナダは6%、5%と引き下げています。「日本よ、カナダを見習え」「消費税増税などとんでもない」というアメリカの圧力がかけられています。

 マレーシア、政権交代で消費税廃止

 マレーシアでは、92歳のマハティール元首相率いる野党連合が選挙公約のトップに消費税廃止を掲げ、昨年5月の国政選挙で勝利し、6月1日に廃止されました。

 マレーシアの消費税は税率6%で、2015年4月に導入されました。それまでは製造業者売上税(税率10%)とサービス税(税率6%)で税収は2つの税の2・5倍になり、物価が大幅に上昇し、国民の不満は増大していました。

 与党ナジブは、消費税を廃止したら財源が不足すると主張。マハティールは財源はあると反撃し、9月から旧製造業者売上税とサービス税を復活し、新幹線の工事中止など無駄な公共事業を削減し、消費税廃止を実現しました。

 消費税は過去の税金、増税阻止は可能、消費税に代わる財源あり

 いま安倍内閣の前官房参与の藤井聡京大大学院教授ら幅広い人々が増税に反対しています。

 自民党の若手議員「日本の未来を考える勉強会」も内閣に対し、消費税の税率引き上げに反対する意見書を提出し、消費税の税率はむしろ5%に引き下げるべきだと主張しています。

 税理士会も複数税率は混乱を招き、インボイス方式は不要で現行方式で十分だと反対しています。

 消費税を上げないと社会保障が賄えなくなり、税収が不足すると心配する人もいますが、財源はいくらでもあります。応能負担原則によって不公平税制をなくし、大企業などあるところからとる税制で消費税を上げずに社会保障財源38兆円を生み出すことができます。

 消費税は瀕死(ひんし)の税制であり、自滅寸前、過去の税制です。あと一押し運動を強めれば増税は阻止できます。統一地方選挙、参議院選挙で増税反対勢力である共産党、立憲民主党、自由党、社民党などの野党が統一スローガンに増税反対を掲げて勝利をめざしましょう。増税を阻止した力で、安倍内閣を退陣に追い込み、カナダのように5%に引き下げ、やがてマレーシアのように廃止させましょう。


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(新聞「農民」2019.3.4付)