「農民」記事データベース20160201-1199-06

農村からTPP反対、戦争法廃止の声を
参院選で安倍暴走政権を追いつめよう
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2016年1月14日
農民運動全国連合会常任委員会

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はじめに

画像  昨年は暴落した米価が回復せず、豪雨による洪水をはじめとした自然災害など、農民の経営、暮らしの困難がさらに広がった1年でした。さらに政府は2015年10月に、国会決議や選挙公約を無視してTPP交渉の「大筋合意」を発表し、米をはじめとする重要5品目の関税の3割、重要5品目を除く農産物の98%の関税を撤廃するなど、究極の“農業つぶし”の内容に多くの農民が驚がくし、怒りを募らせた1年となりました。

 また、戦後70年の昨年、安倍内閣による戦争法の強行をはじめ、憲法の平和主義や立憲主義を踏みにじる暴政が推し進められ、国民と安倍政権の矛盾が激化した一年でした。こうしたなかで農民連は、米価下落対策要求やTPP阻止のたたかいに全力をあげ、戦争法に反対する国民的共同の一翼を担って奮闘してきました。

 参議院選挙が夏にたたかわれる今年は、いよいよ政治や農政を転換させる決戦の年になります。これまでの運動に確信をもつとともに、さらに運動の輪を広げ、仲間を大いに拡大し、農民要求の実現や平和、暮らしを守る国民的運動の一端を担って奮闘しましょう。

T 情勢について

1、戦争法廃止のたたかいが安倍自公政権を追い詰めている

 安倍暴走政治は、戦争法の強行、TPP「大筋合意」、辺野古米軍新基地建設の強行、原発再稼働、消費税増税、社会保障改悪、雇用・労働法制改悪など、国民生活のあらゆる分野で矛盾を深め、「安倍独裁政権打倒」が運動の共通のスローガンへと発展してきています。

 特に戦争法を阻止する空前の運動の広がりは、安倍政権を打ち倒す展望を切り開いています。年代や階層を超えて全国津々浦々に広がり、9月19日未明に強行採決された後も、戦争法廃止のたたかいはとどまることなく広がっています。

 そしてそのたたかいは、3800人もの人々が集った1月4日の国会開会日行動、5日に5000人以上で新宿駅西口を埋め尽くした「市民連合」による街頭宣伝など、今年のたたかいへと大きく引き継がれています。

 戦争法は、憲法9条をじゅうりんして日本の平和と国民の命を危険にさらすものです。また、違憲立法の存続を許すならば、立憲主義、民主主義、法の支配というわが国の存続の土台が根底から覆されることになりかねず、廃止するしかありません。こうした中で日本共産党が打ち出した「戦争法廃止の国民連合政府」の提案は、多くの国民から歓迎されています。提案は、戦争法案廃案を求める歴史的な国民運動の高揚の中で生まれ、たたかいに展望をあたえています。今年夏の参議院選挙で1人区を中心に野党が共闘して議席を勝ち取るなら、参議院での力関係は逆転し、戦争法廃止、立憲主義を取り戻す展望が開かれます。それは日本国憲法の精神に即した新しい政治への第一歩となり、国民の各分野の要求を前進させることにもつながります。

2、いま、政治の転換点に立っている

 (1)安倍政治の危機は深刻

 安倍政権は、対米従属と財界中心主義においても、右翼的立場や独裁的政治手法においても歴代の自民党政治の中でも特異な存在となっています。これは、歴史的に退潮傾向にある自民党政治の行きづまりを反動的に打開しようとするもので、安倍政権の弱さの現れです。

 実際、安倍政権と国民との矛盾は深まるばかりで、従来の自民党の支持基盤を掘り崩し、長年、自民党を支えてきた自民党員の中からも批判が噴出しています。宮城県議選挙で首長や農協組合長を経験した保守の有力な方々が戦争法やTPP問題で安倍政権に愛想を尽かし、共産党候補を勝手連的に推薦するという動きが生まれたのはその顕著な現れでした。

 いま、これまでの政治的立場を超えて暴走する安倍政権に見切りをつけ、新しい政治の在り方を真剣に模索する動きが広がっています。

 (2)農村における大きな変化

 農村現場では、多くの農民が国会決議違反と公約違反のTPP「大筋合意」への怒りや政治不信を募らせ、「これから何を作ったらいいのか」という不安が広がっています。

 こうしたなか、これまでTPPに反対する運動の中心的役割を担ってきたJA全中が、政府の発表した「TPP関連政策大綱」を「要望が盛り込まれた」と評価し、TPP反対の運動から大きく後退しました。また、全国農政連は、今年の参院選の自民党公認の比例代表候補に熊本県のJA組合長を擁立する方針だと伝えられています。

 長年、自民党政権と歩調を合わせてきたJA全中が組織をあげてTPP反対の国民的な共同を担ってきたことは多くのJAや農民の希望であり、この運動が農村や農民の中に大激変を作り出しました。TPP「大筋合意」後の日本農業新聞のモニター調査で安倍内閣支持率が18%に急落しているように、政府が「大筋合意」や「事後対策」を打ち出し、全中がTPP反対の旗を降ろしかかったとしても、農民の中の変化の流れは止まっていない。ここに農村や農民をめぐる情勢の大きな特徴があります。

 少なくないJA都道府県中がTPP批准阻止に徹底抗戦する決議をあげ、組織内から自民党公認候補を擁立することに「裏切った自民党をまだ応援するのか」という怒りと不信がかつてない規模で噴出していることは、そのなによりの現れです。

 こうした中で、TPP反対の一点での共同の核となり、「大筋合意」が発表されて以後も、「大筋合意はまやかし、これからのたたかいでつぶせる」と呼びかけた数十万単位のチラシやブックレットを発行し、農協や自治体など、広範な団体や階層を訪問するなど、たたかいの先頭に立っている農民連への期待の大きさは、計り知れないものがあるといっても過言ではありません。

 (3)いまこそ農民連行動綱領の見地で運動と組織の発展を

 これまで「農民連行動綱領」が運動の支えになってきましたが、農民が大きく変化しているいま、「農民連行動綱領」の見地で運動と組織をさらに大きく発展させることが求められています。

 「農民連行動綱領」は、「農業と農村を愛し、農業にまじめに取り組んでいる農民(農業者)が専業、兼業を問わず、また支持する政党、思想・信条、宗教の違いをこえて広く結集し、…新しい、自主的な農民運動の量・質ともに強大な発展をはかる」とうたっています。これは、政治的・思想的立場を超え、一致する要求で全ての農民に自主的結集を呼びかけたものです。長年にわたって自民党政治を支えてきた方々が、政治や農政のあり方に不信を高めつつ、農業と農村を守るために真剣に模索しているいま、まさしく農民連の出番の情勢となっています。

3、 TPPの現局面

 (1)国会決議違反は明白、安倍政権の恫喝と開き直りは許されない

 TPPをめぐる安倍政権の対応は戦争法と同様、異常の極みです。安倍首相はJA全国大会(10月15日)で「日本が交渉をリードし、国益にかなう最善の結果を得ることができた」と強弁しましたが、実態は「日本が国会決議も公約も投げ捨てて一方的に譲歩し、農業と国民生活、国益を破壊する『大筋合意』にこぎつけた」ものにほかなりません。

 国会決議が求めたのは、重要5品目をTPP交渉のテーブルに載せない「除外・再協議」であり、「10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと」でした。しかし、TPPは重要5品目で30%、それ以外ではほぼ全品目の関税撤廃を認めるなど、WTO(世界貿易機関)をはるかに上回る史上最悪の農業破壊協定であり、国会決議違反は明白です。

 「農水省幹部はTPP交渉が大筋合意する直前(JAグループに)こう忠告していた。『安倍さんを怒らせたら農業対策費が1円も出なくなるぞ』」と報道されているように(日本経済新聞、10月15日)、恫喝(どうかつ)と開き直り、参院選を控えた見せかけの「利益誘導」が安倍政権の手口です。しかし、国民と農民にとっての最大の「対策」はTPPをつぶすことです。

         □ >>〔次ページ〕

(新聞「農民」2016.2.1付)
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2016年2月

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