「農民」記事データベース20040712-643-06

“全頭検査やめていい”は暴論

いま全頭検査の堅持こそ必要

埼玉農民連副会長 立石 昌義

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  /いま全頭検査の堅持こそ必要


 食品安全委員会が全頭検査の見直しに着手し、アメリカ産牛肉の輸入再開の動きが強まるなか、専門家からも「リスクが限りなく低いので、全頭検査はやめてもいいのではないか」との提言が出されています。しかし私は、この考えは間違っており、まだ解明されていないことが多い新型CJD(BSEと関連があるといわれるクロイツフェルト・ヤコブ病)については慎重を期すべきだと思っています。

 九四年にイギリスで十人の新型CJD患者が見つかり、九八年には日本PDA(医薬品の規制に関する学術団体)の主催で、「生物製剤からウイルス及びプリオンを除去するシンポジウム」が開かれました。このなかで血液製剤の安全性についてヨーロッパでは、CJD汚染の危険を理由に血液製剤を回収すると、血友病患者に製剤が行き渡らなくなるから回収しないが、散発性・家族性CJDよりリスクが高い新型CJDに関係した血液製剤はリコールしているとの報告がありました。

 私は当時、血液成分とゼラチンを除去したワクチンの試作に参加していました。日本でワクチンを製造しているのは民間の研究所や株式会社ですが、血液由来の材料やゼラチンにCJD感染力がどれだけあるのか不明の段階でも、リスクを避けることにいち早くとりくんだのです。

 医療の分野では、血友病患者のリスク&ベネフィット(危険と利益)を考えて新型CJDの疑いのある血液製剤を排除しているのに、安全対策がないアメリカ産牛肉を食べてもリクスがなく安全とは暴論です。ましてや危険なアメリカ産牛肉に替わる、安全な国産牛肉があるのですから。

 食料不足に対処するには農産物を増産することこそ重要で、そのための政治の責任が問われているのです。

(新聞「農民」2004.7.12付)
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2004年7月

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